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28 ひまわりの侍
昔、庭にひまわりの苗を買ってきて植えた。ある朝起きると、全部首から切られて、介錯された後の侍の胴体みたいになっていた。
結局はそういうことになる。
だんだん背が高くなってきて、自分の背丈と同じくらいになってきて、まるで自分自身の分身のような、新しい自分が花開くような、そんな気分でひまわりの花が咲くのを毎日楽しみに待っていた。
ある日、女がつぼみのまま切り花にしてしまった。何の興味も示していなかったのにも関わらず、全くの唐突に。つぼみはとても大きくなっていて、明日にでも花が咲くのではないかと思えるくらいまで膨らんでいた。
首を切られた後のひまわりはとても無残でみすぼらしく、根元から切り倒してしまうのも不憫で、冬が来て自然に腐ってなくなってしまうまでほったらかしにしてあった。
結局はみんなそういうことになる。