表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/54

27 MISIAの波長

大学の研究室に籠って、男女のベストマッチングについて研究を重ねていた頃、男は気晴らしに一人でミーシャのライブに出掛けた。

カーオーディオで聴く彼女の歌声から彼女の体格はとてもマッチョだと想像していたが、実際の彼女のはとても華奢な体格だった。身長が低く、腕も細くて、マイクが重そうに見えた。MCの時の声も華奢な感じだった。歌っている時の力強く伸びのある声とは違い、普段の彼女は小鳥がさえずるようなとてもかわいらしい声で、聞いているとくすぐったく感じられるほどだった。

その時に、ひょっとしてこれかもしれないなと思ったのだ。『人は見た目が9割』という本もあったけれど、美人は3日で飽きるとも言う。もし長く付き合うのであれば、見た目よりも声質や話し方の方が大事なのではないかと、ミーシャを見ながら男は思ったのだ。

翌日から、男は多くの声のサンプルを集め始めた。長く結婚生活が続いている夫婦のものや、離婚手続きが長引いている夫婦のものがサンプルとしては分かりやすくて有効だった。別れた芸能人カップルが想像以上に多く、研究には大いに捗った。情報化社会も、まあ悪くない。サンプルはすぐに膨大なものとなった。

男の予想通りだった。円満な家庭生活を築いている夫婦の声の波形は、2人の声を掛け合わせることでとてもきれいな波形を表す。逆に仲の悪い男女の声だと、掛け合わせた声の波形に乱れが生じる。「恋の波長」がどうのこうのとよく言われるけれど、昔から分かってたことなのだな。ただそれを数値化し視覚化し単純化する技術がなかった。男はちょっとしたアイデアからそれを成功させた。そしてそれをビジネスにしたのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ