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22 哲学 心理学
20代の頃、哲学や心理学の本をよく読んでいた。たいくつでつまらない本ばかり読んでいた。そういったたいくつでつまらなくて何だか内容のよく分からない本を読まなければ、世の中は渡っていけないものと信じ込んでいた。
時間を大いに無駄にしてしまった。どうせこの国は駄目になってしまうのだから、サーフィンでもしながら気楽に暮らしていればいいと思っていた。地震か火山か年金で駄目になると思っていた。でも男は自分の予想よりも長生きしてしまったし、自分の予想よりも早く肉体的に衰えてしまった。その上、海にはもう乗れそうな波は立たなくなっていた。