7. 後悔
「お嬢様、次はどこへ行くのですか?」
敬語を所々使いながらお嬢様へ話しかける。
お嬢様は二十歳、僕は十七歳だ。ここに勤めてから早五年が経過した。
メイドではなく“執事“として働いてからは時間が経つのはとても早く感じた。
今日はお嬢様の誕生日のため、街を二人で歩いていた。
やったことといえば、買い物だったり敷かないがそれでもお嬢様は楽しかったようだ。
とても平和な1日だったため、気が付いたら夕方になっていた。
そして僕たちは屋敷に戻ろうとした。
しかし突如として後方から誰かの悲鳴が聞こえた。
何事かと後ろを振り向くも、時すでに遅しだ。ナイフを持った男が僕たちの方に向かってきていた。
そこで僕は直感的に死を予感したが、お嬢様だけは守らないといけないという使命感に駆られた。
しかし、無力で非力な僕にはなす術もなくお嬢様は男に腹を貫かれた。
その時のお嬢様の顔は今でも忘れられない。恐怖と驚きに満ちた顔だ。
その後目撃者である僕も刺されそうになったが、偶然にも先ほどの誰かの悲鳴に釣られて野次馬が大量に押し寄せてきた。
その時僕は初めて野次馬に感謝した、そして男は舌打ちをしながら逃げていった。
しかし、僕はそれどころではなくお嬢様の元へ駆け寄った。
お嬢様はまだ脈があった。しかし安堵も束の間で傷口からは血が隙もないほど連続的に溢れ出ていた。
僕は能力でお嬢様の生を操作しようとしたが、焦りのため発動できなかった。
お嬢様からは、血の気が失われていったが僕はなにもできずただ自分の不甲斐なさを呪い続けながら能力を発動しようとし続けた。
そして、お嬢様は亡くなった。逝ってしまった。
それからというものの、自分の無力な力を呪い続けた。大切な時に限ってなにもできない自分を呪い続けた。
そして、僕は部屋で一人茫然としていた。忽然と消えてしまったお嬢様を思い続けた。
それで救われるはずもないというのに、これが夢であると願い続けた。
それから僕は能力の練習続けた。もうなにも失わないように、もう誰も悲しまないために
そのまま五年ほどの時が流れ、僕は二十二歳になった。
お嬢様と初めて会った時から十年が経過した。
僕はお嬢様のつけていた日記を読み返していた。
ずっとページをめくっていた時
ふと目に
〈ショタを集める〉
という文字が見えた。そうだ、お嬢様はショタコンだった。しかしそんな姿ももう見えないと思ってしまった。
しかし、僕は気づいた。
もしその時に戻れるとしたら
もう一回やり直せるなら
もう一度また人生をやり直せるのでは
そう思い、僕は時間を操作しようとした。
すると、さっきまで誰もいなかったはずの部屋にメイドが数人現れた。
そうさっきまでお嬢様の部屋をメイドが掃除していたのだ。
そして僕は能力で時を遡れることに気づいた。
しかし、今の僕の実力では到底十年の時を遡るのは無理だ。
だから僕はその願いが成功することに賭けて僕は一回目の人生を
自分を鍛えるためだけに、自分の私利私欲だけのために、他の全てを放棄して人生の歩を進めていった。