庶民の味方? お蕎麦のお話し。 喜多方はラーメンだけじゃないんですよ?
本日もK介エッセイにお越しいただき、御目を通しにお寄りくださりありがとうございます!!
以前ですね、私のエッセイで連日にわたりラーメンに関するエッセイを掲載しましたけど、御読みになられましたかね?
その時に、『蕎麦』に関しても何か情報を――というお話をしていたことを覚えていらっしゃいますか?
と、いうわけで、今回のお話は会津のお蕎麦(喜多方のお蕎麦)に関しての内容となります。お時間がおありでしたら、最後まで御付き合い頂ければと思います。
ではまいりましょう!!
唐突に質問となってしまいますけど、このエッセイを読まれている皆さんは『会津』と聞いたら何を連想なさいますか?
戊辰戦争や、その関連のお話し。白虎隊や会津若松城(鶴ヶ城)、そして野口英世などが浮かんでいらっしゃる方が多いかと思います。
観光地とすればそれこそ会津若松を中心になさる感じが多いと思います。そして奥会津の雪景色や、古い街道の宿場町である大内宿などが観光地としては有名でしょうか……。
今回のお話はですね、その観光地のお話し――も少し関係してくるんですよね。それはこれからお話ししますね。
観光に来て時間を忘れてぶらぶらしていたりすると、泊まったり食事に出かけたりするとは思いますが、会津で『泊る』という事をなさると、割と高確率で食事には『お蕎麦』が出されると思うんですよ。
何故お蕎麦が? って思ったことありませんか?
実はですね会津って意外と知られていないんですけど、お蕎麦もけっこう特産品であり、観光資源でもあるんですよ。
でも、以前のエッセイでご紹介したように、『喜多方ラーメン』と比べるとあまり知られていないですよね。ちょっと悲しいところではあるんですけど……。
意外に思われるかもですが、会津ではお蕎麦って『庶民の味』として広まった訳では無いんですよね。
昔はですね、冠婚葬祭などで出されたりすることが多く、『おもてなし料理』としての意味合いが強く残っている土地でもあるんですよ。なので会津にお泊りになられた際の食事に『お蕎麦』が出されるというのは、割と会津では普通の事かなと思います。
実はこのおもてなし料理としてのお蕎麦が定着した起因の1つが、徳川将軍家への献上品の1つだったというお話があります。
その際にですね、召し上がっていただく時に『切る事が武士道的にも縁起が悪い』として、ネギなどを切らずにそのまま出したことが『おもてなし料理』として残った一因だと考えられています。
この事が良く分かるのが、今もなお継承され食べる事が出来る『高遠そば』ですね。そうなんですよ。高遠そばってねぎでお蕎麦を掬って食べるんですよ。これが経験できる主な場所は、江戸期などで宿場町として栄えた『大内宿』です。
もちろん同じ高遠そばでも、信州でどのように食べられているかなどは違うと思うんですけどね。
会津の『大内宿』ではこの食べ方が有名です。
意外と知られてないと思うんですけど、昔のお蕎麦って『辛味大根』を下ろしたつけ汁で食べたり、焼き味噌等と一緒に食べるのが一般的だったって事を皆さんご存じです?
その後に醤油や鰹節などが生産も増え、普及するにつれて出汁のきいたつけ汁で食べる事が普及しました。
会津ではですね、お米よりも『高級品扱い』されていた時期がお蕎麦にもあるんですよ。
ここでですね、ちょっとだけ会津のお蕎麦の食べ方というか、付け汁や薬味について語っている書物がありまして、それが代表的な食べ方として今もなお残っているので、ご紹介しますね。
※1
垂れ鰹之助 (鰹節で出汁をとった蕎麦つゆ・付け汁の事)
大根絞り高遠之助 (大根の絞り汁で食べる高遠そばの事)
紀州みかん之助たり (みかんの皮を乾燥させ、砕いた粉末を入れたつけ汁)
ねぶか(ネギ)の四郎大綱 (薬味として刻みネギ)
胡麻塩但馬之守 (胡麻と塩だけで食べる蕎麦)
相馬柚子之丞 (柚子の薬味)
鷹の爪七味の助 (鷹の爪と七味唐辛子)
梅漬け子太郎種有 (梅の酸味で食べる蕎麦)
鬼胡桃五郎丸 (胡桃味の蕎麦つゆ・つけ汁)
納豆苞糸姫 (納豆と共に食す蕎麦)
振掛海苔次郎 (海苔を乗せて食べる蕎麦)
といったものが書かれています。
今では食べなくなってしまった食し方も有りはしますけど、割とほぼ会津では食べられるお蕎麦かな? と思います。
江戸では『庶民の味・食事』として広まったこのお蕎麦ですけど、会津では『貧しいモノの食事』としては広まって無いので、美味しいものを美味しい食べ方で食べる事が当たり前という考え方が今も残ったままですね。
お蕎麦と言えば会津では何処が有名なの? どこに行けば食べられるの? とお思いの方がおられるでしょうから、ちょっと代表的な産地をご紹介します。
なんといっても会津のそばで有名なのが、旧山都町です(現喜多方市山都町)。寒晒しそばが有名ですね。冷たい川の水できゅっと締めた蕎麦の実を挽いて作ったお蕎麦は甘みがあっておいしいですよ。
同じく現在は喜多方市となっていますが、山都町の隣である高郷町。こちらは『雷神そば』が有名です。
そして会津の東の玄関口である猪苗代町も、お蕎麦の産地でありそばを打つ体験ができる道場や博物館などが有ったりして有名ですね。
それから忘れてはいけないのが、大内宿を要する下郷町ですね。
こちらは前述した『高遠そば』が食べられます。食べられますが、一大観光地化しておりますので、急に行ってすぐに食べるという事が出来るかはちょっと未知数です。
どうしても食べたいというのであれば事前予約して行かれる事をお勧めします。
と、いった感じで今回は会津のお蕎麦事情について皆さんに知って欲しいと思い、このようなお話を書かせていただきました。
これから夏本番になります。冷たいお蕎麦がよく合う季節になりますので、ざるそばなどをお召しおあがりになって涼を求められてはいかがですか? (*^▽^*)
会津(喜多方)に来られる際は、是非ラーメンだけではなくお蕎麦も食事のレパートリーに加えて頂きたいなと思います。
本日のお話は以上です。
最後まで御付き合いありがとうございます。
御読み頂いた皆様に感謝を!!
ちょっと体調見ながら執筆になってますが、まずはエッセイをお届けしました。
会津(喜多方)はラーメンだけじゃないですよ? (*^▽^*)
※1 参考文献
『会津そば口上』元木慶次郎編:歴史春秋社刊