自己紹介2
「オレは柊翔真。属性は火、武器は剣の戦士っす。ホント、ついさっき八雲さんに連れてこられて簡単に自己紹介しただけで、マジで何にも分かりません!ただ、親父が残した借金返済しないといけないんでそれまではお世話になるって話っすよね?」
「うん。ちゃんと返しきれればね」
「そういう事なんで、よろしくお願いします!」
よし、終わった。流石に全く緊張しないわけじゃねぇから少しホッとした。
どことなく哀れまれてる気もしなくもねぇけど気にしない気にしない。
「次は俺が。初めまして、夏坂大雅と申します。属性は地。武器は刀の魔戦士です」
へぇ、魔戦士ってことは魔法と武器両方使えるし、適性B以上か。んでもって魔戦士になれるぐらいならエリート様って事だ。
「とは言っても、魔法はそこまで得意では無いのですが、精一杯ファミリーの為に働いていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします」
微笑みながら多分45°のお辞儀。何か、きっちり決まってやがる。爽やかエリートサラリーマンみたいなイメージだな。
「私ね。初めまして、水瀬杞紗です。属性は光で魔道士です。沢山使える訳ではありませんが、治癒魔法も使えます」
「えっ!?」
「治癒士ですか!?」
「冬樹」
「ち、違う。私知らない」
なんかみんなの様子が突然おかしくなったぞ。凄い慌ててるというか、困惑してる感じか?
「えっと、水瀬さんの担当って雛乃さんでしたっけ?」
「そう。これは黙ってたね」
「ど、どうするんですか?」
「あの、何か問題でもあるんですか?」
よく聞いた夏坂!そんなに動揺するほどのことじゃないと思うんだけど。
「治癒士は一度必ず医療部の幹部の方と会って頂いて、治癒魔法次第では医療部所属になるんです。それを隠してしまうとなれば、まず怒られますね」
「……それだけですか?」
「まさか、だいたい罰と始末書かな」
「そんなに酷くないような」
「一ヶ月魔獣警戒任務を休暇無しでやらされるんだ。部署関係なく」
聞いただけで嫌な予感がする。魔獣警戒任務?ってやつがどんな大変なのかはわかんねぇけど、ヤバそうだな。
「うーん……隠し続けるのは無理かな。伊吹くんに見つかったらバレちゃう。諦めて報告するしかないね」
八雲さんが息をついたその瞬間だった。
「大丈夫よ!なんの問題もないわ!」
スパァン!と扉が豪快に開かれ外から黒髪をお団子に纏め、紫の目をした妖艶な雰囲気をした美女がヒールをコツコツ鳴らしながら中に入ってきた。
「気配まで消して何してるの雛乃さん。少し驚いたよ」
「冬樹君ですら気づかなかったなんて、私も魔法使わないで気配消すのが上手くなったみたいね。あら杞紗ちゃん久しぶりね!」
「お久しぶりです神代さん」
な、なんだこの嵐みたいな人……!見た目凄いお淑やかそうで色気がある美人な女性なのに、パワーがすごい!
「お疲れ様です雛乃さん!」
「ありがとう雪音ちゃん!みんなも元気そうでなによりよ!」
「相変わらずですね」
「まったくです」
「あら失礼?もしかしなくても新人さんよね?」
くるりとこちらを振り返りオレと夏坂を見定めるように視線が動く。目線が絡む前に必死に頷けば、満足したように笑った。
「そうよね、なら自己紹介させてもらうわ!私は神代雛乃。私は両親がリベルタに所属していたから生まれてすぐにここには、よく遊びに来ていたの。その頃から考えるなら諜報部の中では一番のベテランね。
あ、冬樹君。最低限何を話せばいいの?」
「名前、属性、戦闘職、諜報部の役割」
「OKよ。属性は水で魔道士。諜報部では潜入、情報収集に暗殺、男性を騙したりとか、新人教育とか……そうね、幹部のお仕事以外はほとんどやってるわ。一応冬樹君がいない時は私が諜報部の最高責任者になるから覚えておいてね」
「夏坂大雅と申します。属性は地の刀使いで魔戦士です。こちらこそよろしくお願いいたします」
「柊翔真っす!オレは戦士で剣を使ってます!属性は火です!よろしくお願いします!」
「二人ともよろしくね!」
底無しの明るさとコミュ力、そして男を騙す……それ即ち、男のロマンと言ってもいい。即ち、ハニートラップ!なんて事だ、神代さんのこの色気と美貌で話しかけられてそれとなぁくボディタッチなんてされた日には落ちる自信がある。ついでにどことは言わねぇけどデカいし!




