路地裏:2003.8.25、あるいは王城:皇統歴658年紫の月四の日
転移直後の兄の視点です。
アルバイトからの帰り道、俺は光に包まれた。
目が慣れると、そこには偉そうなおっさんが何人かと、挙動不審にキョロキョロしている同年代の男女が何人かと、露出度の高い服を着た女の人がいた。同年代の男は、「イセカイキターーー」と言っていたような気がするが、言葉の意味は分からなかった。
話をまとめるとこうだ。
挙動不審組の俺たち6人は、召喚された勇者であるとのこと。耀司が見てたアニメにそんなんあったな…。
ここは俺たちのいた地球から次元を隔てた世界らしい。
この6人は全員が日本から喚び出されたそうだが、喚び出された年代や辿った歴史が違うのだという。
詳しそうなメガネ曰く、パラレルワールドだと。
パラレルワールドってなんだよ。
とりあえず分かってる風の顔をしておいたが、バレている気がする。
で、エロい服の女の人が俺たちを召喚した張本人。この国で聖女とか呼ばれてるらしい。
偉そうなおっさんたちは国の偉い人、というか王様と側近だった。
俺たちの役割は侵略してくる魔王を倒すことだというが、少なくとも俺は一般人なんだが。
つーか、全員そこまでの戦闘力は期待できないと思うんだけど…。
と不審な目を聖女に向けていたら、そのあたりの説明があった。
なんでも、次元の壁を超えてきたことで、こちらの世界の住人よりも強い肉体を得ているらしい。
また魔力のあるこちらの世界に来たことで、得意不得意はあれど魔法が使えるようになっているらしい。
おまけに、勇者として召喚された特典で特殊なスキルを1つ得ているらしい。
つまりあれか?今の時点でその辺のおっさんより強いってこと?
その話を聞いて間もなく、メガネが「ステータスオープン」と唱えたあと俯いた。奴の目線が何かを追っているが、俺たちには何も見えないので、俺も唱えてみた。
目線を少し落とした先で、黒いボードに俺の名前とステータスが書いてあった。
どうやらこのボードは実体があるわけではなく、他の人にはまるで見えないようだ。
ゲームのような展開はワクワクしなくもないが、俺は今すぐ帰りたい。
今日の晩飯は唐揚げだったはずだし、明後日は真里とデートの予定だ。こいつらの世界のために働かなきゃいけない理由が今のところ更々ない。
キャンセルして元の世界に戻せと詰め寄ったが、呼び出すことしかできないらしい。
魔王を倒すことで元の世界に帰った勇者の記録があると言われたが、ちょっと信用ならない気がする。
特殊なスキルを確認するときも一悶着あった。
スキルを含めてステータスを全て報告しなければいけないというのが非常に気にかかり、数値を少なめに報告しておいた。
自分らしくない慎重さの原因は、後から分かった。
俺のスキルは【脅威の察知】、ユニークスキルが警戒心を強くしていたのだった。
ヤマシロ・キイチロウ
age.16
LV:1
JOB:無職
H P:130
M P:130
STR:22
VIT:16
AGI:32
DEX:27
INT:10
MND:18
CHR:7
LUC:3
BONUS:10
SKILL
拳術:2
柔術:1
交渉:1
算術:2
魔術適性:0(熟練度不足)
危険予知:8
精神耐性:2
逃走幇助:5
UNIQUE SKILL
【脅威の察知】
AGI+100%
DEX+50%
危険予知L8を取得
精神耐性L1を取得
逃走幇助L5を取得
???
???
TITLE
次元の渡航者(MPに+補正)
召喚勇者(ユニークスキル解放)
傍若無人(CHRに−補正、精神耐性L1を取得)
知ったかぶり(INTに−補正)
不運(LUCに−補正、エンカウント率上昇)
チキン・ハートは割と当たりの部類。
しかし、LUCが低いのが怖い




