閻魔様の助手になりたい ―死にきれない俺の最後の頼み―
「なろうラジオ大賞3」の『助手』部門です。
それでは、どうぞ。
俺は死んだ。
そう、死んだ。
で、俺は閻魔様の助手になりたいと思ったんだ。
出落ちとは言わずに、最後まで聞いてくれ。
あれはいい天気の日だった。
登山に出掛けた俺は、足を滑らせて崖下に落ちた。
▪▪▪
あっけなく死んだ。
目の前が暗くなった。
俺、何もしてないのに――
気がついたら、河口に居た。
三途の川って、この事を指しているのか。
『……よっ、そこの兄ちゃん』
声のする方を見ると、船に乗った人が居る。
『あんた、死に人だろ。おらは、死に人を向こう側に運ぶ船屋さ』
向こう側って事は、閻魔様が居る所か。
『ささ、ボケッとしねぇで……』
謎の力で、船の方に吸い込まれた。
『出発だぜ』
船はゆっくりと動き始めた。
▪▪▪
『さてと、着いたぜ。ここから先は、あんたの運命さ』
大きな門の前へ着いた。
運命……天国か地獄かって事か。
せめて、天国へ行きたいが。
門を開くと、奥におっかなそうな人が居る。
あの人が閻魔様か。
《死に人よ 判決を言い渡す》
いきなりっすか……まあ、良いけど。
《地獄行きとす》
………地獄行き。とほほ……
《して 最期に言いたい事はあるか》
言いたい事。
生き返るのは難しいだろう。でも、地獄行きもなぁ。
……じゃあ、一つ言ってみようかな。
「俺!閻魔様の助手になりたい!」
昔見た、閻魔の弟子になると言うマンガを模して言ってみた。
《何を言っている それは無理だ》
ですよねー。
仕方ない、地獄をエンジョイするか……。
読んで頂き、ありがとうございました。