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ある魔法使いの弟子

作者: すみ いちろ

もうすでに

知っておるかも知れんがのぉ

ワシゃぁ最後に

かわいいお前に

言ぅておこうと思うてのぉ……





ええか…

言葉は魔法なんじゃ

ふぉっふぉっふぉっ……

え?

んなこたぁないって

顔をしとるのぉ…




お前は

相変わらず

かわいいのぉ…




言葉が魔法というのはなぁ…

ほれ

お前の大好きなあの世界…

そう…

あの世界と同じ魔法であっての…

よくあるじゃろ…?

失われし力とか…

今は使われなくなって久しいとか…

あれとおんなじじゃ…

 



ふぉっふぉっふぉっ…

まだ疑ぅた顔をしとるのぉ…

お前はかわいい…





火 水 風 土…




基本的な属性のことは

お前もよく知っておるな…

かわいいお前のことじゃ

一生懸命学んでおったな……




あれと同じ

まったく同じなんじゃよ…




あちらの世界では

実際に

物を熱したり氷らせたり風を吹かせたり

大地を揺るがせることができる…







こちらの世界では出来ぬ…




ふぉっふぉっふぉっ…




出来ぬと思うておったか…

お前は

どこまでも

かわいい…




目に見える世界だけが全てではない…




それはお前もよく聞いておるじゃろ

それは本当にそうなんじゃ

実はなぁ

こちらには

もうひとつの世界があってなぁ…

ふぉふぉふぉっ…




どこかって…

それは

お前もよく知っておる

ここ…




ここじゃよ

ここ…




お前自身の心の中じゃよ……



 

ここにのぉ…

もうひとつの世界がある…

驚いたか…

それともよく知っておったか…




この世界はなぁ

共通なんじゃ…




ひとつひとつ



ひとりひとり




違ったようにみえて



実はなぁ…



つながっておるんじゃ…



驚いたか…



さすがにのぉ



お前はいつも

ひとりじゃったからのぉ…



世界がひとつと思うては

それも仕方のない

無理からぬことよのぉ…


 


よいか…




世界はのぉ…

ひとつだけではない…




人が生きておる数だけ




世界は存在する…




お前の知らぬ世界がな



そこにはちゃんと



あるんじゃよ…



決してひとりではない…



決してひとつだけではない…



数えきれぬほどの世界が…



あるんじゃよ…



そしてそれらは

なんと

すべて

つながっておる…

ある意味ひとつじゃの…




でな




それらの世界で

お前が日頃からよく学んでおる

魔法を使うことができるのじゃ




よく学んでおるものほど

だいじに魔法を使う

何せ魔法とは力であるからのぉ…




乱りに使うことはない…




実際に

人を

生かすことも

殺すことも

可能じゃ…

よみがえらせることだって出来る……




それをなぁ…




お前は

習得しようと

必死なんじゃ…




与えもするし

奪いもする




究極の魔法

魔力そのものの意味をさす

それが

言葉じゃ……




そしてな

なんと素晴らしいことに

三つめの世界を生み出すことが出来る…

言葉とは魔力とは凄いのぉ…




ひとつは

かわいいお前の住む世界…




ふたつめは

お前自身の中にある

内に秘められた世界…




みっつめは

お前やお前以外の全ての者たち

タマシイが生み出す世界のことじゃ




みっつめの世界は

ひとつめの世界からでも

ふたつめの世界からでも




眺めることが出来る…




どの世界もつながっており

ひとつじゃ




そして

それらは




タマシイの数だけある…




命のあるなし

生き死にに関係なくな…

ある…




だからのぉ…




最期に

お前に

言うておこうと思うたのじゃ…




言葉とは力…

世界そのもの…

それらを生み出すことが

お前には出来る…




ひとつだけではない世界…

お前の住むこの世界…

お前の中の心の世界…

タマシイの数だけ存在する心の世界…

そして

それら

タマシイのもつ心の世界より生み出される世界…




言葉とは魔法なんじゃ…

言葉とは力なんじゃ…

言葉とは世界なんじゃ…




それらを支えるもの

多くのものたちのタマシイを支えるもの…

そして

かわいいお前自身を支えるもの……




それが




言葉じゃ……





んでな




言葉に力をのせるためには



信じることが必要じゃ……



自分自身を信じる……



どこまでも信じる……



信じる……



信じる…




信じきることじゃ……




タマシイはのぉ…




生きておる……




だからのぉ…




この身体が滅びようとも関係ない…




信じることによって誰もが生かされておるのじゃ




お前自身も




誰かが信じることによって生まれた




あるいは




お前自身が自分自身を信じることによって




誰かから生まれた…




これも魔法じゃの…




魔法となんら変わりはない…




魔法の力の源は




信じることじゃ……




どこまでも信じる…




信じる……




信じる…




かわいいお前自身を信じきるのじゃ……




かわいいお前自身を




どこまでも




どこまでも




信じてあげるのじゃ……




己自身をいたわり




やさしく




やさしく




己自身を




大事にしてあげれは




かわいいお前自身の全てを




信じることができる……





どこまでも




どこまでも




お前自身が




お前自身を




信じることができる……




自分自身を大事にするとは




時には厳しく




時には やさしく




自分自身に向き合う……







自分自身を




大事にしてあげなさい……




そうすれば




必ず

 



自分自身を




信じられる




信じるられるのじゃよ……




そうすれば




必ず言葉に




力がのる……




お前自身も




自分自身の人生を




生きられるはずじゃ……  




信じるとは





生きることじゃ





生きることそのものなんじゃ




 

なんとしても生きるのじゃ





以上



 

かわいいお前にの


  


贈る言葉じゃ……




どこまでもの……




どこまでもの……





幸せにの……




生きるのじゃ……

















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― 新着の感想 ―
再読と思うのですが、あらためて読むとめちゃ良い詩ですね! >言葉とは魔法なんじゃ…  言葉とは力なんじゃ…  言葉とは世界なんじゃ… この部分が、特に素敵だなと想いました! 全ての人々への言の葉に…
[一言] 「言葉は魔法」 「目に見える世界だけが全てではない」 「人を生かすことも殺すことも可能」 「自分自身を信じることが必要」 本当におっしゃる通りですね。すみいちろさんの作品は、言葉の力につい…
[良い点] 世界の理を説きながら、弟子を優しく励ましてますね。 弟子というより孫に語りかけているよう。 愛情が溢れてます。 物書きへの応援歌のようにも感じました。
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