無言
無言
私は黙っている
口に出せばすぐに吐いた息と同じように
空気の中に消えてしまうから
言葉を飲み込む
砂糖のようにすぐに溶けて
ただ甘いという感じだけが残るのが嫌で
私は口を閉ざす
大切なものの形が無残にも崩れて
形のない残骸になってしまうのが怖くて
言葉をくるくると口の中で転ばす
伝えたいことがたくさんあるのに
どの言葉も不適切で重苦しい
使いすぎて擦り切れて意味をなくした言葉は
公演のあとの客のいなくなった劇場のように
寂しく虚しい
あなたの腕の中
心臓の音が共鳴する
言葉にならない確かな言葉
黙っていても伝わる言葉
あなたの心臓の音を聴く
酸素欠乏症・・・