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16 RPG その9


 ☆16 RPG その9 ☆

 

 結婚式をとめ、花嫁を奪いますか?

⇒はい

 いいえ

 

 僕は、躊躇ちゅうちょなく”はい”を選択する。

 

「あっ」

「またっ!」

「でござる!」


クウヤ『マオー!!!』


 クウヤと他のパーティーがマオに近づく。

 

 クウヤ達とマオと新郎の手の甲が光りだし、

竜の紋章が現れる。


『こっ、これは?!』


 竜族の婚姻の儀式にちょうど居合わせた6人が

偶然にも6人とも竜族の血筋だった。


マオ『貴方達も竜族だったのね』

クウヤ『はい、マオもそうだったのか』


新郎『ところで、君達は結婚式をとめようとしていたのかな?』


クウヤ『そうだ。マオはオレと結婚する!』


新郎『ふむ、次の竜族の王を生むため、

僕達は政略結婚だったし、あまり気乗りが

しなかったんだ。竜族の血を絶やすわけにはいかず

やむをえず結婚するつもりだったんだけど』


他のパーティーメンバー『ちょっとまったー!

私達も竜族だし、次の王を産む候補になれるよね?』


新郎「それは、かまわないけど……」


他のパーティーメンバー『やったー!

クウヤ、私達も花嫁候補だから慎重に選んでね!』


「なんだか、以外な展開になっているんですけどー」

「そうですね。このままだと圧倒的にマオが有利ですー」

「こうなったら……、ウタハを選んだら私と付き合うでござる。

マレイもルホルホもいいわね?」

「えー、そんな、ダメってこともないけど……」

「わたしも、急にそんなこと言われても、ダメじゃないですけど……」

「よし、これでみんな花嫁に選ばれたら空也君と付き合うって事で!

いいわね、空也君!」


 なんだか大変なことになってきた。


 僕は、緊張した手を操作する。

あっ、また、手が滑った。

間違えて決定ボタンを押してしまう。


 間違えて、新郎を選んでしまった!

 

新郎『ふふっ、僕を選んでくれるのは嬉しいけど、

竜族が滅んでしまうよ。残念だけど女の子を選んでくれたまえ!」


 ふー、良かった。

相手は、竜族の女しか選べないらしい。

でも、僕の選ぶ相手は初めから決まっていた。


 僕は、躊躇なくマオを選ぶ。


マオ『嬉しい、私も初めて会った時から、ずっと好きでした』


 ファミコンのゲームは、普通、音声は出ないはずだけど、

このゲームのマオは、ちょっとノイズが混じっているが

ちゃんと喋って音声が出ている!


 ゲーム画面は、マオとクウヤが抱き合い世界樹を背景にくるくると

上昇する。


 エンディング画面が流れる。

 

「ちょっと、少しは悩みなさいよ」


 マレイは、ゲシゲシと僕の足を蹴ってくる。

 

「先輩のばかー!」


 ルホルホは、ポカポカと僕の腕や胸、肩を叩いてくる。


「空也君、コロス!」


 詩羽先輩は、腕を僕の首にまわし、チョークスリーパーで

絞めてくる。わりと苦しい……。


 こんな感じで、僕の初めての恋は、

部活の女子全員をふって、ゲーム中の女の子と結ばれる事となった。


 eスポーツが、ゲームを本気で遊んだ結果、スポーツだと呼べるなら、

RPGを本気でロールプレイして遊んで得た恋は、本物の恋と呼べるのだろうか。




おわり。



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