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01 土管兄弟ゲーム

 ☆01 土管兄弟ゲーム ☆

 

 クラスメートの紹介で、部活に入る事になった。

 

 部活の内容は、コンピューターゲームで遊んでいるだけでいいらしい。

表向きのまじめなこじつけのような建前はあるだろうけど、

ゲームで遊んだ結果を自分に活かせるかどうかは結局、自分しだいだと思う。


 部室に行くと、そこには花札を作っているメーカーで

有名なゲーム機があった。ゲーム機の名前は、家族電脳だ。


 皆、呼びにくい名前では呼ばず、英語を略して

ファミコンと呼んでいる。


 部室には、先輩がいてゲームをしていた。

 

 先輩は、ゲームを止めて、こちらを向き、

立って挨拶をしてきた。

 

「私の名前は、茅野詩羽かやのうたは、ここの部長をしているわ。

よろしくね。貴方の名前は?」


 先輩の容姿は、黒髪を白いリボンで束ねたポニーテールで

黒縁の眼鏡をしていて知的な感じで、身長も高く165cmは

ありそうだ。プロポーションも良いように見える。


 俺も自己紹介をしようと考える。

人生において先輩に自己紹介をするなんて初めての事だ。


「僕の名前は、芸夢空也げいむくうやです。

クラスメートに紹介されて見学に来ました。よろしくお願いします」


 僕は、今まで使った事もない自称「僕」を初めて使う事になった。

 

「それじゃ、さっそくゲームをしましょうか。二人で遊べるゲームは、

ちょうど今遊んでいる、土管ブラザーズね。」


「知っています。友達の家で少し遊んだ事があります」


 土管ブラザーズは、世界的に有名なゲームで

配管工を操作して、亀やカニなどを下からジャンプして

地面を殴ってひっくり返し蹴って倒して点数を競うゲームだ。


「それじゃ、勝負しましょ、最後まで生き残っていた方が勝ちね!

負けたら、うーん、自販機で飲み物を買ってくるパシリってのはどう?」


「いいですよ。やりましょうか」


 負けても、パシリくらいなら問題ないし、気軽に遊ぼう。

 

「そうこなくちゃ、ノリがいいね。少年! 手加減はしないからね」


「はい、お手柔らかに!」


 僕は、2プレイヤー側の弟のキャラの方を操作する事になった。


 このゲームには点数もあるけど、勝ちの条件は、最後まで

生き残る事だ。僕は、このゲームにまだ慣れていないけど

ルールは遊んだ事があるので知っている。


 真剣に点数を稼いで敵を倒そうとすると、視線が自分のキャラ付近に

集中してしまう。そうすると、中央の下付近にある

敵をひっくり返したり、逆に起こしたりする特殊なブロックに

目がいかなくなってしまう。


 勝つためにはどうすべきだろうか?

 

 僕は、ゲーム開始と同時に中央付近の特殊なブロックを殴る。

普通に3回使えば、効率的に敵をひっくり返せる温存しておきたい

機能だ。


「ちょっと、何をしているのよ! それは、敵をひっくり返せる

ブロックなのよ!」


「ええ、知っています。全部使っちゃいますね!」


 僕は、3回、即効でブロックを殴って壊した。


「何て事を! 私の考えた作戦が使えないじゃないの!」


 先輩は、コントローラーを投げ出し、僕の首を両手で絞めてくる。

 

「く、苦しい」


 それでも僕はコントローラーを離さずゲームを続けた。

 

 そんな事をしている間に先輩のキャラは敵にやられてしまった。

 

 接戦の末、最初に1人、無駄にした先輩が負けてしまった。

 

「僕の勝ちですね! 何を頼もうかなあ」


「くっ、悔しい、まさか、あんな手でくるとは……」


「名前忘れちゃったんですけど、柑橘系の紅茶が入った炭酸飲料を

買ってきてください」


「わかったわよ、わざとそんな見つかりにくい飲み物にしたのね。

意地でも買ってきてやるわよ!」


「無かったら、普通の紅茶でいいですよ!」


 先輩は、僕の声が聞こえたのか聞こえなかったのか、

さっさと出て行った。


 30分後、怒った顔をした先輩が僕に寄越した飲み物は、

ジャズインとマウンテンデューの2本だった。


 お金は2本分取られた。

 

eスポーツ関係ないかも

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