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オウム

 金田一

「さて、お次は誰かな?」


 司会

「次は初登場のオウムですね。それではオウムさんどうぞ」


 オウム

「はじめまして。今日はよろしくお願いします」


 司会

「こちらこそよろしくお願いします。早速ですがオウムさん、今日はどの言葉を提訴されに来ましたか?」


 オウム

「はい、なんといっても『オウム返し』ですね」


 司会

「これはよく使いますね。人の言うことを、ソックリそのまま真似して言う人の事ですね。あんまり真面目に聞いてないときに使われる例えですね」


 オウム

「そうなんです」


 司会

「でもこの言葉の何が気に入らないのですか?」


 オウム

「はい、この言葉はやっぱり『単に相手の言ったことを真似る』と言うような、あまりいい意味のことわざじゃないですよね」


 司会

「そうですね。どちらかと言うと『適当に聞いている』とか『話に熱が入ってない』、『自分の意思がない』みたいな不真面目なイメージが強いですよね」


 オウム

「ちょっと、それはあまりにリスペクトがないんじゃないですか?」


 司会

「え、リスペクトといいますと?」


 オウム

「いいですか?動物界広しといえども、人間の言葉をそっくりそのまま言い返せるのは、私たちとインコ、九官鳥くらいなものなんですよ」


 司会

「言われてみたらそうですね。犬とか猫でも同じ事は無理ですよね。犬が『おはよう』と言ったらビックリします」


 オウム

「でしょう?そのすごい能力を、何か悪い言葉として使われていること自体に憤りを感じます」


 司会

「わかりました。と言うことらしいですが金田一先生よろしくお願いします」


 金田一

「確かにオウムさんが言う通り、動物界広しといえども人間の言葉を器用に真似ができる動物は数少ないです」


 オウム

「でしょう?自分で言うのもなんですが、これはかなり卓越した能力だと思います」


 金田一

「最近の研究ではオウムさんには脳内に7つの神経の塊があるとされています。ほかの鳥類にはこのような領域は見られないので、科学者たちはオウムさんが発声学習を可能なものにするため、この領域を持ったのだろうと考えています」


 司会

「それは凄いですね」


 金田一

「しかし、研究はそこまでで、なぜオウムさんが卓越した声帯模写能力を持っているかを説明できていません」


 オウム

「これは私の方から説明します。生まれた時から人間の家庭で飼われたオウムは人間を仲間だと認識しています。ですから仲間の人間が話す言葉をそのまま真似ようとする本能が働くのです」


 司会

「しかしそうは言ってもイントネーションや口調など真似るのは非常に難しいんではないですか」


 オウム

「そうなんです。ですから私たちは人間と同じように声帯を震わす時に細かい周波数を調整する機能を身に付けたのです」


 司会

「やはり凄い能力ですね」


 オウム

「やっと、ご理解していただけましたか?」


 金田一

「では長年かかってその素晴らしい能力を身に付けたオウムさんに敬意を表して、明日からは『できるもんならやってみろ!オウム返し』とします」


 司会

「あ、いいですね。ちゃんとリスペクトが入ってますね」


 金田一

「はい?他の動物たちに『できるもんならオウムさんのように喋ってみろ』と言う意味と、『努力して得た凄い能力に対して過小評価してはいけない』と言う戒めとします」


 司会

「いいですね。オウムさんも納得ですね!」


 オウム

「いいですね。オウムさんも納得ですね!」

 とオウムが「オウム返し」をした。


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