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猫 3回目

金田一

「さあ、次は誰かな?」


司会

「あ、昨日に引き続き猫ですね。猫さんお入りください」


「はい、よろしくお願いします」


司会

「さっそくですが今日は何を提訴しにきましたか?」


「はい『結構毛だらけ、猫灰だらけ』です」


司会

「あ、よく使いますね。意味はよくわからないですが」


「まず司会さんにお聞きします。。灰をかぶってる猫を見たことありますか」


司会

「そうですね・・・今の世の中ではあまり見ませんよね」


「ですよね。なんかただ単に、言葉遊びに付き合わされているだけのような気がして納得できないんです」


司会

「分りました。じゃぁ、今日の提訴は意味の変更です?」


「いえ、灰ではなく今風にしっくりくる言葉に変えて欲しいんです」


司会

「と言う事ですが、金田一先生よろしくお願いします」


金田一

「これは確かによく使いますよね。寅さんがテキ屋の口上の時に使ってから流行しました。口上ですから単にゴロが良いだけで別にこれといった意味はありません」


「そんな言葉遊びに、付き合わされたらたまらないです」


金田一

「まぁそう言わないで。昔の猫は冬の寒い日は、暖かい釜戸の炭の上に寝る習慣があったんです。だからいつも灰だらけだったんですが、今は釜戸どころか灰そのものを見る事はありませんね」


司会

「釜戸なんて日本全国探しても、滅多にお目にかかる事はないですね」


金田一

「しかし明治、大正、昭和初期には家庭には釜戸や囲炉裏があったと思います。まあその名残ですね。ですから今回の猫さんの提訴は有効です」


司会

「猫さん、よかったですね」


「はい」


金田一

「では猫さんにお聞きします。今は寒い冬にはどういうところで寝てますか?」


「そうですね、よく車のボンネットの上で寝ます。程よい温度で気持ちいいからです」


司会

「あ、それよく見ます。私が冬の寒い時に車で出かけようとしたら、近所の猫がボンネットの上に陣取って困ってるんです」


「これはすいません」


金田一

「それでは決まりですね。明日からは『結構毛だらけ猫ボンネット』とします」


司会

「なるほど、これなら冬の風物詩として誰でもが納得しますね。猫さんいかがでしょうか?」


「いいですね。一気に現代風になりました」


金田一

「しかし猫さん、ただ1つ問題があります」


「なんですか?」


金田一

「最近は電気自動車の発展によってガソリンエンジンの車が減ってきております。ですから100年後にはこの言葉自体がまた古くなってる可能性があります」


司会

「なるほど。猫さんの居場所がまた変わるわけですね」


金田一

「ですから、まぁ暫定的なつなぎと言うことになるでしょうがいかがですか?」


「はい納得しました。またその時は暖かい場所を探して提訴しに来ます。今日はありがとうございました」





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