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金田一

「さーて、じゃんじゃん行こうか。次は誰かな?」


司会

「はい、次は狐ですね。さあ、狐さんどうぞ入ってください」


「まいど、よろしゆうたのみま」


司会

「あ、コテコテの大阪弁ということは狐さんはわざわざ大阪からのお越しですか?」


「せや、難波からきましてん」


司会

「遠路はるばるお疲れ様です。で、今日は何のことわざに提訴しに来ましたか?」


「この際はっきり言いま。『虎の威を借る狐』でんがな」


司会

「あ、それでしたら共同提訴になりますから虎さんからの・・・」


「委任状でっしゃろ。ほれ、ここにおます」


狐から手渡された委任状を確認した司会

「はい確かに委任状は問題ございません。狐さんの提訴は有効です」


「ほなさっそく明日から『虎の威を借る狐』を変えてんか」


司会

「大きな権威やチカラにすがる小人物と言うことわざですね。まあ、分かりやすく言うとジャイアンとスネ夫の関係ですか」


「せや、このことわざはどう考えてもワイら狐がせこ〜い小物扱いされてまんな。これがどない考えても納得いきまへんねん」


司会

「だってそれは仕方ないでしょう。誰がどう見ても虎はあなた方よりもはるかに大きいし獰猛で力があるから」


「そこや、問題は!」


司会

「と、言いますと?」


「司会はん、ワイらの他のことわざ知ってまっか?知ってたらゆうておくんなはれ」


司会

「狐さんの他のことわざですか。『狐につままれる』、『狐の嫁入り』・・・あと金田一先生何かありますか?」


金田一

「あとは『狐火』や『狐と狸の化かし合い』がありますね」


「さすがは金田一はんやな。よう知ってまんなあ。ほな、お二人にさらに聞くけど今ゆうた4つのことわざの共通点は何やと思いまっか?」


司会

「共通点・・・不思議な話かな?」


金田一

「ズバリ、共通点は『人を化かす』ということですね」


「せや、大当たりや。流石でんな」


司会

「狐さん、進行上話を先に進めます。提訴理由をはっきりと仰ってください」


「ほな、ゆうで。ワイらはその気になったら虎にでもライオンにでもT-REXでも瞬時に化けることができまんねん」


司会

「あ、」


金田一

「つまりわざわざ『虎の威』などを借る必要がないと・・・」


「せや、小さいからゆうて、あんまりみくびったらあかんちゅうこっちゃ」


司会

「いやー、たしかに。話は聞いてみるものですね」


金田一

「では狐さん、こうしましょう。あなたの提訴を受けて明日からはズバリ『虎の威を借りない狐』ではいかがでしょうか?」


「お、ええなそれ。ほんで、意味は?」


金田一

「先ほど狐さんが仰ったとおり『小さいからゆうて、あんまりみくびったらあかん』ことの例えにしましょう」


「よろしいでんな」


司会

「狐さん、納得されましたか?」


「ああ、納得しましたわ。おおきにな。ほなさいなら」


と言うと狐は「ボンッ」と白い煙を残して消えていた。

その途端に先ほどの委任状は葉っぱに変わっていた。





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