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犬 2回目

金田一

「さてわお次は誰かな?」


司会

「次は昨日に続き犬ですね。では犬さんどうぞ」


「はい、今日もよろしくお願いします」


司会

「たしか、昨日は『犬死に』を提訴されましたが今日は何を提訴されますか?」


「はいズバリ『飼い犬に手を噛まれる』ですね」


司会

「一般には目をかけたやつに裏切られることですよね。『あれだけ親切にした部下に裏切られた。まるで飼い犬に手を噛まれたような気持ちだ』みたいな使い方をします」


「はい、そうなんです。しかし前回も言いましたが我々は何千年と言う長い期間、人間に忠誠心を持って仕えてきました。だから主人を噛むことはありません


司会

「それはわかります。うちの犬も『甘噛み』はしますが真剣に噛まれたことはありません」


「ですよね。ちょっとこれを見てください」司会に紙を差し出す犬。


司会

「なんですかこれは?」


「今まで主人を噛んだことがあるか(甘噛みを除く)のウェブサイト投票の結果なんです」


司会

「なるほど

今まで噛んだことが無い 95%

噛もうと思ったことがある 4%

噛んだことがある  1%

ですね」


「そうなんです。我々は体育会系より上下関係を大切にするので決して恩がある主人を噛むことはありません」


司会

「しかし実際には1%が噛んでますよ」


「これには理由があります。2枚目の紙に噛んだ理由が書いています」


司会

「えーっと、噛んだ理由は

1 三日間エサをくれなかった

2 不当に棒で殴られた

3 花火を顔面に当てられた

4 熱湯をかけられた

なるほど、たしかに酷いですね」


「このことわざはどちらかと言うと我々『犬が悪い』ような例えになっているんですけれども、実際は飼い犬が噛むようなことをした飼い主の方が悪いんです」


司会

「なるほど一理ありますよね。要するに原因を作った人間が悪いと言う事ですね」


「そうです。それなのにちょっとこの言い方はあまりじゃないですか。子供たちにも何とか誤解を解いて欲しいとせがまれています」


司会

「わかりました。金田一先生助けてください」


金田一

「私も犬を飼ってますからあなた方の忠実さは理解しています。先ほどの理由を聞くと人間のDVに対する対抗手段ですね。つまりこれは正当防衛が認められます」


「ご理解いただけましたか?」


金田一

「明日からは『飼い犬に手を噛まれる人間』としましょう」


司会

「意味は何ですか?」


金田一

「意味は『忠誠を誓う人に平気で暴力を振るう人』です」


司会

「あ、今家内を思い出しました」


金田一

「悪者を人間に変えましたがいかがでしょうか?」


「なるほど、これなら私たちが『恩知らず』のイメージが無くなりますね」


司会

「よかったですね」


「はい、子供たちにも顔向けできます。これからも人間にますます忠誠を違います」



司会

「たくさんの動物が来て長らくの審査でしたが、この辺りで一旦閉廷いたします」

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