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金田一

「はい次は誰かな?」


司会

「大変ですよ金田一先生!今度はなんとあの仏様が来てます」


「こんにちは、今日はよろしくお願いします」


司会

「仏様から『よろしくお願いします』だなんて勿体ないお言葉です」


「まあ、そう固くならないでザックバランスにやりましょう」


司会

「お気遣いありがとうございます。早速ですが仏様、今日は何を提訴されますか」


「やはりなんといっても『仏頂面ぶっちょうずら』ですね」


司会

「世間一般にを『不機嫌な顔』『ぶっきらぼうな顔』を表現するときによく使いますね」


「そうなんです。私は基本的に生涯、笑顔でずっと通してきたつもりなんですけど、なぜそのような不愉快な表現になるのか理解に苦しみます」


司会

「言われてみたらそうですよね。確かに微笑みを絶やさない仏様の顔がなんで『不機嫌な顔』の代名詞になっているのでしょうね。今まで気づきませんでした」


「いかに心が広い私でも、今まで我慢してきましたけれど今日ははっきり白黒つけたいと思います」


司会

「わかりました。と言う事ですが金田一先生よろしくお願いします」


金田一

「あ、仏様。基本的に我々人間は仏様は『笑顔を絶やさないお方』と言う基本姿勢は変わっておりません」


「そうなのか?」


金田一

「その証拠に『仏の顔も三度まで』と言うことわざが用意されています。これは『いつも笑っている仏様でも3回までが限度だよ』と言う意味です」


「その件だが、私は人間が思う以上に心が広いから10回までなら耐えてみせますよ」


金田一

「なるほど。では『仏の顔も十回まで』に変更しましょう」


「ありがとう」


金田一

「本題ですが、まず『仏頂』とはお釈迦様の登頂に宿る計り知れない功徳を仏格化した仏のことです。仏頂尊の恐ろしい面相から由来します」


「さすがによく知っていますね」


金田一

「仏頂尊は知恵が豊富で堂々としている一方、顔が年中変わないので不機嫌に見えます。このことから、『仏頂面』という言葉ができました」


「不機嫌に見えるなら、わざわざ私を持ち出さなくても仁王や閻魔や鬼のほうが適任ではないかな?」


司会

「なるほど『仁王面』に『閻魔面』、『鬼面』ですか。どれも不機嫌そうですね」


金田一

「この三つの中から選びますか?」


「いや、先ほど金田一先生が言った仏頂尊のもう一つの側面に意味を変えてほしい」


金田一

「つまり『知恵が豊富で堂々としている』人の例えに変更をご希望ですね」


「はい、理路整然と堂々とした博士や研究者に対して使って欲しいのです」


司会

「なるほど『お茶の水博士』や『ギルモア博士』などが対象ですね」


金田一

「わかりました、仏様のおっしゃるとおり明日から意味を変更しましょう」


司会

「仏様、よかったですね」


「はい、今日は二つも変更していただき、ありがとうございました」




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