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トンビ

金田一

「はい、お次は誰かな?」


司会

「トンビですね、あれ?白衣を着てますね。それではトンビさんどうぞ」


トンビ

「よっこらしょっと。よろしくお願いします」白衣を着たトンビが椅子に座った。


司会

「トンビさん、白衣を着てますがお医者さんなんですか?」


トンビ

「ああ、トンビ医科大学で教えている教授です」


司会

「それは凄いですね。で、今日の提訴はどのことわざですか?」


トンビ

「はい、ズバリ『トンビが鷹を産む』です」


司会

「あ、それなら共同提訴になりますから鷹さんからの委任状はお持ちですか?」


トンビ

「はい、ここに用意しています。先ほど帰られた鷹さんも全て私に一任しています」


トンビに渡された書類を読んだ司会

「はい、委任状に不備はありません。トンビさんの提訴は有効ですね。それではこのことわざのなにが気にくわないのですか?」


トンビ

「最近ではトンビの世界でも遺伝子操作技術が発展してきています」


司会

「はい、人間界でもクローンや遺伝子操作の話題は毎日事欠きません」


トンビ

「実は鷹さんの精子を譲り受けて長年の研究の結果、我々トンビもやっと鷹を産めるようになったところなんです」


司会

「そうなんですか、そう言えばライオンと豹の間にできたレオポンっていうのが昔いましたね」


トンビ

「そうなんです。違った種族であっても異種交配や遺伝子操作によってどんどん新しい種族が出来てくる時代なんです」


司会

「なるほど。という事は今回のトンビさんの提訴はこのことわざの破棄と言う事ですね」


トンビ

「いや、先ほど出ていた鵜さんと同じで憧れの鷹さんと一緒にことわざに収まっている事は誇りであるので破棄はやめていただきたい」


司会

「わかりました。意味の変更ですね。それでは金田一先生よろしくお願いいたします」


金田一

「一般には『平凡な親がすぐれた子を生むこと』のたとえですね」


トンビ

「はいそうなんです。しかしあまりよく知られてないことなんですがら鷹さんと鷲さんと我々トンビは、全てタカ目タカ科の鳥で、見分け方が難しいほど実はよく似ているんです」


金田一

「そうですね我々人類としてはぱっと見には区別がつきません。どこで区別をつけるかと言うと鳴き方と飛び方と習性なんですね」


トンビ

「さすがは先生、よくご存じですね。うれしいです」


金田一

「トンビさんのサイズは鷹さんぐらいですが、一番大きな特徴は『ピーヒョロロロ』と鳴き、羽ばたかずに輪を描くように空を飛ぶことです。鷹さんはまるで高倉健のように無言なんです」


トンビ

「はい私も嬉しいことがあった日や、酒をたくさん飲んだ時にはよく『ピーヒョロロ』と鳴きます」


金田一

「次に習性ですが、鷹さんは生きた動物を捕食するのに対し、トンビさんは小動物や魚の死骸などを食べ、市街地に棲んでゴミも漁るために「町の掃除屋」といった異名もあります。そのため、同じタカ科でも、鷹さんは『高貴な印象』トンビさんは格下で『意地汚い印象』を持たれています」


トンビ

「は、はい。正直ここだけは今後変えなければいけないなと思っております。『トンビに油揚げをとられた』と言う不名誉なことわざもありますからね。反省しています」


金田一

「そうですね。普段からの生活慣習などは教育でなんとでもなりますからね」


トンビ

「はい遺伝子操作でいかに鷹さんに近づいたとは言え今後は生活慣習を直す教育を徹底的にすることを誓います」


金田一

「ではこうしましょう。『トンビが鷹を産む』は据え置いて、意味は『いかに医療技術が発達しても教育が大事だ』という例えにしましょう」


司会

「トンビさん、よかったですね。これでいかがでしょうか?」


トンビ

「はい我々も鷹さんになるべく迷惑がかからないように毎日切磋琢磨していきたいと思っています。ありがとうございました」

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