プロローグ
私には幼馴染がいる。名前は宮杉昴。
「みゆきちゃん、今日はこれ持ってきたよ。みゆきちゃんこれ好きだったよね?」
昴は、病弱で学校を休んでばかりであまり友達がいなかった私と一緒に私が元気な時はいつも遊んでくれた。私は体が弱かったからあまり激しい遊びができなかったからいつも家の中でばかり遊んでいた。
「すばる、いつもありがとねー。」
こんなことを私が言うと昴はすぐにこういう。
「別に僕がみゆきちゃんと遊ぶのが楽しいから遊んでるんだからお礼なんていらないよ」
昴はいつも私が飽きないように遊びを変えてくれた。今思えば昴も男の子なんだから私なんかとじゃなく、他の男の子みたいに外にでて遊びたかったと思う。なのに、私をいつも遊びに誘ってくれた昴くんは本当に優しいと思う。そんな優しい昴のことを私はいつの間にか好きになっていた。
中学三年まで私はいつも学校を休んでいた。だけど私が中学校を卒業するちょっと前には私は病気になることが少なくなり、あまり学校を休むことはなくなっていた。
でも、この時私はすぐに卒業だったから、結局友達と呼べるような人は昴だけだった。私は昴とのほとんど過ごすことができなかった昴との中学校生活をやり直したい。そう思った。
中学校の卒業式を終え、昴の志望校の合格発表の日。昴は笑顔で私の家に来た。急いできたらしく、昴は息を切らしていた。私が「どうしたの?」と聞くと昴は。
「美雪、俺第一志望の高校に合格したよ。」
そういってスマホで撮った合格者番号を見せてくれた。私はとても複雑な気持ちで胸がいっぱいだった。あのことを昴にだせていないからだ。そのあることというのは―私も昴と同じ高校に行きたい。―そんな気持ちでいっぱいだったから。
昴は自分が志望校に合格したことを私に伝えると、すぐに家に帰った。その日の夜、お母さんが帰ってくると、私のことを呼んだ。私がお母さんのところにいくと、お母さんは目に涙を浮かばせていた。私は終わったと思った。また昴と学校生活を送れないんだと。
だけど、お母さんの口から出た言葉は違かった。
「美雪…学校に行ってない間、勉強してて、よかったわね」
お母さんはこんなにも短い言葉を泣かずに言い切ることができなかった。お母さんは泣きながら紙を私に差し出した。その紙にははっきりと合格と書いてあった。私は泣いた。今までどんなにつらい治療も泣かなかったのに、この時だけは子供のように泣いた。だ って私がずっとしたかったこと、したくてもできなかったことができるんだから。