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第17話 バンジーベーカリー(その3)

第15話~第17話の副題変更しました。(本文には変更ありません)

「いらっしゃいませ!」

ご近所の主婦たちが朝食用パンを買いにバンジーベーカリーに続々きた。


「はい、食パン3枚に惣菜パン2つで7カンですね。はい、10カンお預かりします。3カンのお返しです。ありがとうございました」

「いらっしゃいませ。食パン2斤にサンドイッチ。あとコッペパン2つですね。15カンになります。ちょうどお預かりします。ありがとうございました」


地球にいた頃にコンビニバイトをしたことあるし、この程度だったら簡単であった。


「あなた、計算早いわね。5+5+3+1+1だから、15カン合ってるわね」

新しく焼き上がったパンを持ってきたアリスが驚いていた。

「えっ、5×2+3+1×2だろ、これくらいは暗算で出来るだろ」

「ちょっと待って、掛けるって何?掛けるって!」

「例えば、食パン2斤って事は、5カンが2つだろ。だから5×2=10ってこと。もしかして掛けるって知らないの」

「知らないのって!?言うけど、それこそ官吏養成学校で足し算引き算以外の数字の勉強をするのが普通なの。ひょっとしてアタシの事バカにしてる?」

「してないって」


どうやらノヴァルディーでは算数は大幅に進んで無いようだ。これは入学後大きなアドバンテージになるかもしれない。


「それは今度ゆっくり聞くけど、ピザトースト売れないわね。あなたが自信持って売れるって言ったから大量に焼いちゃったじゃないどうするの」


そうなのである。朝からひっきりなしにお客さんは来るが、一目見てくれるんだが、手にとってくれない。これはマズイ。


「試食だ。試食をしてもらわないとダメだ」


考えてみたら至極当たり前である。

サウザンドリーフでは昨日まで誰も食べたことがなかったピザトースト。いくらいい匂いがしてたとしても手にとってくれるかは微妙だ。それも普通の惣菜パンより1カン高くしてる。これは試食しないで買えという方が無茶だ。


「としあえず1枚を9切れくらいに分けて商品の前に数枚分置いといて『ご自由にご試食下さい』って置いておいてくれ」


アリスは作業場に戻りピザトーストをカットし、試食皿に載せておいておいた。どうやら爪楊枝もこの世界にあるようでそれも置いておいて貰った。


「いらっしゃい」

「このピザトーストって何かしら。試食っていうけど食べていいのかしら」

「どうぞご自由に」

「では・・・。美味しいじゃないこれも貰うわ」

「ありがとうございます。コッペパン2つにピザトースト2枚、クロワッサン4つ。合計16カンになります。20カンお預かりします。4カンのお返しです。ありがとうございました」

「あら、計算も早いのね。主人に食べて貰って美味しかったらまたピザトーストも買いにくるわ」

「ありがとうございます」


このあとピザトーストは一気に売上を伸ばした。特に子供やランチタイムの男性が多く買ってくれた。


「いやぁ、ハヤトくんのお陰でこんなに売れたよ」

話を聞くと開店以来の大商いになったそうだ。

「アイデアもまだまだありそうだし、何より計算も早い。口コミでいつもの倍近い人が来たはずなのに平然と捌いてたのは凄いよ」

「ありがとうございます」


お世辞に対してお礼を言ってるとバンジーさんがとんでも無いことを言ってきた。

「どうだい、うちのアリス貰って、ウチを継がないか・・・」

「お父さん何言ってるの!バカァァァァァ」


ハヤトは見た。

大の大人が空を飛ぶ瞬間を・・・。

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