第11話 町に入る
狩人の親娘に守られながら町に隼人は向かっている。
「挨拶をしてなかった。はじめまして隼人と言います」
名字を名乗るか迷ったが名前だけにした。名字を名乗れるのは貴族だけとか言われてトラブルに巻き込まれたくなかった。このノヴァルディーについては知らない事がまだまだ多すぎる。
「そういえばしてなかったですね。改めてはじめましてアリスです。こっちは私のお父さん」
「はじめまして。バンジーです。ちなみに今日はアリスの狩りの付き添いなので狩人みたいな格好してますが、普段はパン屋をやってます」
親娘の丁寧な挨拶を聞き隼人は恐縮した。その事を伝えると二人がむしろ驚いていた。
「いえいえ普通にしゃべってるだけですよ。なあ、アリス」
「お父さんの言う通りですよ。まぁ、褒められて悪い気はしないのでいいですけど」
会話も弾み、特に帰り道に何かが襲ってくることもなく、無事に町の入り口まで着いた。
「では警備員に事情を説明してくるからハヤトさんは、アリスと暫くそこで待っていて下さい」
バンジーは、入り口に立ってる警備員に隼人が町に入る為の手続きをやってくれているようだ。
「異世界ってどんなところなの」
「こんなに自然が広がってる光景が珍しいとこだな。自分が住んでいたところは。逆に言えば動物とか何かに追われる事は殆ど無く、身の安全はかなり保障されている様な場所だったよ」
「そうなんだ。そんな良いところからノヴァルディーに来た意味が分からないわ」
隼人は異世界となった日本での生活を思い出していた。
「そのかわり、チャンスが殆ど無いというのかな。1度失敗した者がもう1度チャンス掴むのは難しすぎるのかな。そんな感じだよノヴァルディーに来た理由は」
したり顔で話している隼人に対して、アリスは今一要領を掴んではいなかった。
「う~ん。よくわからないけど、ノヴァルディーでハヤトさんにとってチャンスが掴めることを願ってるわ」
そんなことを話しているとバンジーが警備員との話し合いを終えたらしくこちらに向かってきた。
「無事に町に入る許可が下りたので、来てください」
バンジーに導かれるように町の中に入ることが出来た。
「それでは、冒険者ギルドに行きましょうか。私達もハヤトさんも用事があるようですし」
ギルドは入り口から2分程まっすぐ歩いたところにある3階建ての建物であった。
2人に聞くとサウザンドリーフに3階建てのサウザンドリーフ領主の邸宅兼執務所と、冒険者ギルドと商業ギルドそれに冒険者専門学校などいくつかの学校だけらしい。それ以外は殆ど平屋で、多少2階建てがあるくらいだ。
コンクリートジャングルであった日本とは大違いだ。
冒険者ギルドに入って、バンジーは受付にギルドマスターとの面会依頼をしていた。暫くすると3人は2階にある応接室に通された。
この回のタイトルは仮とさせて下さい。後日変更する可能性があります。