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龍驤ナオコは、司令官室を出て目的の場所へ向かって行った。
かけていたサングラスを外して胸元に下げる。本当なら、もっと早くに足を運ぶべきだったのだが、何かと行かない理由をつけて後回しにしてきてしまった。
後ろめたさや、罪悪感のようなものがあったのかもしれない。
何も知らない少年を戦場に送り出すことに、何も感じない人間がいるだろうか?
少なくとも、龍驤ナオコは何かを感じていた。だから、その場所に足を向けるのを躊躇って来た。
この報告書を纏め終わったらと何度も自分に言い聞かせてきたのだから、今日は行かなければならないだろう。
どうしてか、ヴァリスの黒い制服が――――喪服のように見えた。
花を買って行った方がいいだろうか?
「いや、やめよう」と、ナオコは首を横に振った。湿っぽくなりすぎる。これじゃあ、本当に葬式みたいじゃない?
ナオコは、手ぶらでその場所に向かうことにした。
目的の場所について、その重たすぎる扉を開けた。
すると真っ白で清潔な部屋の中、ベッドの上で眠りについている少年が――――
葦舟ミライがいた。




