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 激しい爆発音と共に、巻き起こる衝撃――――

 対消滅エネルギーが生み出す、圧倒的な破壊――――

 

 しかし、それがヴィヴィアンの命を奪うことはなかった。

 

  死を覚悟した少女は何が起こったのかも分かず、おそるおそる目を開く。まるで夜に怯える小さな子供みたいにゆっくりと、ここが死後の世界ではないかと疑うように。 


 そして目を開けた、瞬間――――少女の翡翠の瞳の中に、大きな翼が見えた気がした。そして、そこにいるはずもない少年の後ろ姿に、ヴィヴィアンは視界を滲ませた。


 小さくも逞しい背中だなと、ヴィヴィアンは朦朧とした意識の中で思った。

 そして張りつめていた緊張の糸が解けたように、気を失って地に落ちていった。



 ☆



 龍驤ナオコは、信じられないとモニターに映った光景を凝視していた。


 最前線に立った三人が、九つの黒い尾を掻い潜りながら〝ナインテール〟への攻撃を続けていた。攻防は一進一退だったが、かなりの劣勢だった。セカンドチーム、サードチームの派遣は間に合いそうもなく、どこかが綻べば、作戦全体が瓦解してしまいそうな危うさを孕んでいた。


 ナオコは、満身創痍のヴィヴィアンはそろそろ後ろに下げなればと考えてはいたが、今ヴィヴィアンの負担を他の二人に回せるほど、戦況は余裕のある状況ではなかった。


 そして一瞬の判断ミスが、ヴィヴィアンの絶体絶命を招いた。

 

 攻撃を交わし続けるヴィヴィアンは、迫りくる頭上の尾に気をとられて、横薙ぎに襲いかかる尾への反応が遅れてしまった。


「まずいっ。オードリー、マヤ、ヴィヴィアンを支援して」

 

 ナオコは急ぎ指示を出したが、遅きに失している事は明確だった。

 その瞬間、ナオコはヴィヴィアンを失った後の戦況について考えた。

 

 死んだものを嘆いても仕方がない――――戦場ではあり得ることなのだと、自分に言い聞かせた。


 諦めてしまった、その刹那――――


「ヴィヴィアン」


 黒いネクサス・スーツ〝零式〟を身に纏った何者かが、最前線へとおもむき戦場に介入した。ヴィヴィアンの正面に立ち塞がり、装備していた〝アンチマテリアルライフル〟の銃身を逆さまに持って構え、野球の〝フルスイング〟よろしく――――思い切りに振りぬいてみせた。


 横薙ぎにヴィヴィアンを襲った〝反物質の尾〟を、両手で持った〝ライフル〟で〝ジャストミート〟させて吹き飛ばすと、遠くの海で激しい爆発が起こった。

 

 ナオコには、何が起こっているのか理解できなかった。


 けれど、たった今見事な〝ホームラン〟を打ち、ヴィヴィアンを守った何者かが――――

 

 ――――葦舟ミライであることだけは容易に理解できた。


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