後
だから、成功例の失敗談だ。
語辺 日向の呪いはまだこの先も語辺家について回るだろうし、語辺 救得は知夏を利用しただけだったことを、知らない方が幸せだった真実を知らせてしまった。
「それでもね?何も知らずにのうのうと生きるより良かったと思うの」
だから僕は謝礼として、この件に関して、知夏が僕にありがとうと言わないでくれることをお願いした。
「人に関わりすぎない……だっけ?」
夏和歌の話によると、知夏は静かな田舎町に引っ越したらしい。
「無理だと思う。姓くんには」
夏和歌のことだ、色を取り戻してから倒れるまでの二日間の間に、急速に仲良くなったのだろう。
「だって言霊師だよ?」
「言霊師じゃない。真似っこだ」
受話器の向こうの相手に文句をいっても仕方ないが……言わずにはいられなかった。僕はまだ、言霊師と呼べるものになれてはいないから。
「そういえば語辺。夏和歌が『勝ち逃げなんてズルい』って言ってたけど……」
「……そう」
救える力を手に、僕の悲壮なる生活が始まるわけだが……。
「いつか必ず戻ると、そう伝えて」
今はまだ、休息に浸らせて欲しい。決意の傷跡が癒えぬ内は。
「そっか。待ってるからな」
「……夏和歌に怒られてもしらない」
「?」
ガチャッ!
切られた……。
こうして、苦い苦い一波が過ぎ去ったのである。
成功と失敗を曖昧に連ねた、歪な形で――。
卍
さて、知夏の話は以上だが、僕の不穏なる言霊師生活はまだまだ続く。
また機会があれば、別の話を聞かせよう。人知れず傷ついた、獅子を被った子猫のような……そんな話を――。
断
はい、お疲れ様でした。
読んで下さった方、本当にありがとうございました!
この作品は勢いでパパッと書いちゃった作品なので、簡単であっさりとした短いものになっています。
受験生が何やってんだか……。
ちなみに……読めました?タイトル。
コトノハ ゲンソウキタンって読むんですよ。いや、読んで欲しいんですよ(笑)
言の葉幻想忌憚にしたらちょっと中二くさかったんで、少しアレンジしました。
まあ……気づきますよね。
西尾維新さんの影響受けすぎですよねごめんなさい。
僕的には、視覚的に見えない不思議な力という点で、怪異とは一線を画したかったんですが……。
何はともあれ、完成してよかったぁ♪
アイデアばかりが溢れる今日この頃、みなさまにおかれましては、僕のように挫折や困難に負けたりはせず、充実した日々を送って下さいませ。
それではまたどこかで。
Ps.勉強してきまーす!