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罪なき罰  作者: storn-book
4/5

罪の意識

その人間が私の手をとり誘導され歩いていると、別の部屋へ入れられた。


そこには別の人間が座っており、対面に座らされ、ずーっと何かをしゃべっていた。

何を言っていたかは分からないけど、いきなり怒ったり、やさしくなったりしていたのを覚えている。


そしてそんなことが繰り返されて何日か過ぎた後、大きな別の部屋へ入れられた。

そこにはたくさんの人間がいて私を見ており、私は部屋の中心に立たされ、長々と私にしゃべっていた。

そしてそれが終わると、また小さな部屋へ戻された。

しかし、そこは前とは違い、私と同じ服を着た人間がいた。

その人間はなんと、あの青いビニールの家にいて食料をくれた老人だった。


その老人はとにかく人のいい人間だった。私にまず、言葉を少しづつ、少しづつ教えてくれた。

そして次は、文字の読み方を教えてくれた。

その頃はもう老人と5年くらいになっていただろう。

そんな老人の口癖は「本を読みなさい。」だった。

しかし、私は、言葉を喋るのは好きだったけど、文字を読むのが嫌いだった。


そんな暮らしていたある日老人が1日中布団から動かなくなり、呼びかけても揺すっても、反応しなかった。老人が死んだ事に気づいた。

その時私は生まれて初めて涙というものを流した。

次の日から一人部屋での暮らしになった。

喋る相手がいなく、退屈な日々を過ごしていたが、ふと老人の言葉を思い出した。

「本を読みなさい。」

私はその時からとりついたように、本を読み出した。


まずは、歴史から読んでいった。

私は衝撃を受けた。自分だけ取り残されていたこと、ここまで人間というものが発展していたと言うことに。


そのあとも、経済や文化、法律やスポーツ、ありとあらゆる本を読みあさった。

読んでいくうちに少しづつ自分がなぜここにいるのか、自分のしたことの罪の意識というものが分かってきた。



そして、何年か先、自分はどのように罰を受けるのかを…

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