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夏まっしぐらん。

作者: マリオネ

夏休みの女子高生と男子高生の話です。軽いです。

どうもミキって言います。本名は木下美希。普通の女子高生をやってます。1年生です。彼氏は募集中って事にしてます、普通の女子高生なんで。

「んー、夏休みの夕方の河川敷を散歩…。オシャレな響きですこと」

と言った具合に、青春を自分なりに華麗に、かつオシャレに過ごす事が趣味です。自分でも結構良い趣味だと思ってます。

友達は男女の隔たり無く付き合っているつもりだが、女と言うのは本当に厄介なことで、汚ないと売女と呼び清純だと猫かぶりと称してくる全くもって厄介な存在だ。本当は男と居た方が気を遣わなくて済むし、私のクソ詰まらない話でも笑ってくれるし(私が優しくて多少可愛いと言う条件の元で成り立っているのだと思うけど)。と言っても、そればっかりやっていれば女から狙ってると称され男からはビッチと言われる。ホント、他人が煩わしくてしょうがない。

一応、学校では清純派と言う事で通っている。人当たりも良いと思うし、相手の傷つく事はしないし。普通な事だと思うけど、周りのみんなは子供だなって思ったりもする。と言ったように私はいたって普通の優しい清純派女子高生なのだ。


「夏まっしぐらん」


河川敷を歩くというのは素晴らしい事だと思う。歩くと言う事がすでに素晴らしい(カロリー消費の意味でも)と言うのに、加えて青春ドラマでも良く起用される河川敷をうら若き清純派女子高生(自称プチ可愛い)が物憂げな顔して歩いているのだ。自分でもこの光景をビデオで撮ったら凄い絵になるなって思うもの。なんかのエンディングみたいで。と言ってもまだ人生のエンディングを迎えるわけでもないのだが。撮る気もないし。いや、本当に撮っておいたら、葬式に流したらいずれ生まれるであろう私の子供の孫あたりが「若いときのお婆ちゃんって凄い可愛いかったんだね」って私の葬式に一つの花を添えてくれるかもしれない。そして天国で私は「わしだってまだ若いわい」とかなんとも微笑マシックハートウォーミングな感じ(おっと、清純派女子高生語録がポロッと出てしまった)になるかもしれない。

「ん、あれは…おーい、田畑くーん!」

そんな下らない事を考えていたら、この夕焼け河川敷と言う優雅な場所で、全力でボールをガードレールの壁に向かって投げ込んでいる何とも優雅じゃないがたいの良い人に出会った。あ、男の子は別に優雅に高校生をやるより、こう言う風に熱血見たいな事をしている人のが好みなので、別に嫌とかは思っていない。

「練習?暑いのに熱心だね。」

「ひさしぶりだな木下。夏だから気合い入れて練習しなきゃな。今日は優雅に散歩か?」

私が声を掛けると、田畑君は投げ込みを止めて向き直ってくれた。こういう一寸した優しさとかポイント高し。手でボールを弄ってソワソワしてない所も良い。

「そうよ。うら若い女子高生が夕焼けの河川敷を散歩だなんて優雅じゃない?」

「優雅だな」

そう言うと田畑君はクシャっとした笑顔で笑った。

「毎日ここで練習してるのかしら?」

「毎日って訳じゃないが。折角の夏なんだし体を動かすのもやぶさかじゃ無いだろ。それに俺の友達は夏に弱そうだし誘うのが躊躇われる」

「良く昼休みに一緒にキャッチボールしてる人の事?」

「おう」

田畑君の友達とは、私が喋るともの凄い笑ってくれる人の事だ。あの人も優しいので嫌いじゃない。ただ、私が普通の事を言っても大爆笑したので一度「何が面白いの?」と聞いたらしどろもどろになった事があった。

「構って貰えなくて寂しい?」

「んーちょっとだけだけどな。」

田畑君が寂しくないと言わなかった事に少しビックリした。頑固そうだけど結構素直な感じでポイント髙し。

「そっか、仲良いんだね」

「そうだな、あいつが居なきゃ俺もこんなに頑張って無いだろうな…。多少恩人と言うか…」

「ふーん…恩人かぁ。なかなか良い青春を送っているのね」

体の大きい人が恥ずかしがるのはなんともキュンと来てしまう。その友人君も中々やるね。こんな子を手なずけるなんて。

「まぁそんな事どうでもいいだろ。暗くなる前に帰るんだぞ」

話していたら空が少し暗くなってきた。田畑君とその人が仲良くなった話は気になるが、良い女はあまり詮索などはしないのだ。それに私も暗くなる前に帰りたい。

「そうするわ。田畑君はもう少し練習するの?」

「おう、まだやる」

ボールが見えなくなるまで練習なんて…ちょっと憧れてしまう。青春だね。そんなに野球部って楽しいのかしら。まぁマネージャーになんかなるつもりないけど。

「頑張れ野球部。じゃあね」

「あん?」

首をかしげている。

「なにか変な事でも言ったかしら?」

「だって俺、野球部じゃないし」

「はっ?」

夏だから頑張るってあれじゃないのかしら。甲子園に刺激を受けてとかじゃないのかしら。

「じゃあなんで頑張ってるの?」

「キャッチボールで変化球投げられたらカッコいいだろ」

「……」

思考停止

「バカ?」

なのかな?

「かもな」

田畑君はまたクシャっとした笑顔を見せて投げ込みを再開した。投げている球は確かに横に曲がったりしてる。でもなんだろう。この気持ち。このもの凄いバカっぽい事に全力な感じを見せつけられた感じ。…ちょっとうらやましかったり。

「なんか二人の関係ってうらやましいね」

「多少一方通行だけどなー。全力なのは俺だけだし。」

なんか惚気話を聞かされてる気がするけど、男同士の友情ってこんな甘ったるかったけ?

「なんかいい感じね」

「いい感じだ。…そうだ、羨ましいって言ってたよな。」

そういって田畑君は置いてあったバックを漁り、携帯を取り出すと、少し操作した後に私へ向けてきた。

「え、なに?」

「番号交換しようぜ」

「なに、ナンパ?」

まぁ番号交換くらいでナンパなんて思わないけど、ちょっとびっくりした。

「いや、だからキャッチボールだって。こんどやる時呼ぶよ」

ああ、なるほど。色っぽい事は全然なかった。少しくらい下心があったりしたほうが嬉しいけど、この人は多分そんな気一ミリもなさそうだし。

「ナンパかと思ってビックリしちゃった」

そういって番号を交換する。

「そんな気はないぞ」

そんなキッパリ言わなくても良い気はするが。可能性を残してくれるのがいい男になるコツらしいぞ。

「あ、ナンパになるかも」

「はい? よく解らないんだけど」

「こっちの話、気にするな」

気にするなっていうなら気にしないけど…。しかし詮索しないのが良い女の秘訣なのです。

「でも呼ばれても来ないかもよ?」

「優雅じゃないしな」

「まぁそんな感じかも」

「男の青春に付き合うのも中々優雅だと思わないか?まぁやる時は連絡するよ」

この熱血君中々うまい事を言う。

「そう。じゃあよろしくね」

そう言って私はさよならの挨拶を澄ましたのち、帰路ついた。


「キャッチボールねー」

自宅への帰り道でさっきの事を思い出す。今日の優雅な感じは、高校生になってら有った出来事の中でもすこぶる優雅だったとおもう。田畑君が思っていたよりも違ってたし。二人の青春話を聞くのも、今後高校生生活を優雅に過ごす為の良い勉強になるかもしれないし。

「よっと!」

なぜか走りたくなったので、家まで走る事にした。

優雅だった夏に青春のスパイスがちょっと加わった話



「一回くらい行ってもいいかもねー」



優雅過ごすはずの夏に熱血な所を入れても良いかなって思った話

ありがとうございました。独立した話ですが少し夏まっしぐらと繋がってます。

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