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episode 5 寺崎 飛鳥


初めまして。寺崎飛鳥です。

さっきはひろにぃに貶されて思わず泣いちゃったけど、本当は優しいひろにぃを知っているので気しません!!・・・・多分。


そんなひろにぃは席についた途端寝ちゃいました。みなさんもどうしたものかと困った顔を浮かべています。

「あ、あの・・・・」

そんな中、中学生みたいな童顔の綺麗な女の子がオズオズと手を上げてきました。


「これから一年間よろしくお願いしますね」

天使顔負けの笑顔を振りまきながらそう言う少女。でも・・・・。


「よろしくね。でもなんで男子の制服きてるの?」

彼女がはこの学校の男性用制服の緑色のブレザーと、赤と黒のチェックのズボンを身につけていたのだ。


気になったので指摘すると、突如、なぜか彼女は泣き出してしまった。


「え、え!?どうしたの!?」

わけがわからず動転する私にニタニタと気色悪い笑みを向けてくる激突魔。


「あーあ、泣かせちまった。人のコンプレックスをつくなんてえげつないぞー」

「は!?何よ!?」

コンプレックス?いったいこの子のどこにコンプレックスになり得るものがあるの?確かに胸は無いみたいだけど・・・・・。

数々の疑問を浮かべながらパニックに陥っている私を見て、こんどはその隣に立つ綺麗な女の子が苦笑する。


「こいつは男なのよ」

「は!?」

まじですか!?こんなに可愛いのに!?

絶句する私に、少女――もといい少年は「さっきも言いましたよぅ」と涙目で抗議してくる。


「ご、ごめんなさい。その、誤解しちゃってて」

「グスっ・・・もう言っちゃだめですよ?」

うわっ、何この子の上目遣い?可愛すぎるにも程があるよっ!

なんだかクラクラしてきたところで、教師らしき女性が入ってきたので全員席に戻る。因みに私はひろにぃの隣だ。


「はーい、席についてくださーい。HRを始めますよー」

間延びした声でそう宣言する女性教師。うわぁ、大人の女性って感じだぁ。


「私はこのクラスの担任になりました、如月真野(きさらぎ まや)です。よろしくお願いしますねー」


にこやかな笑顔でそう言う如月先生。たった今私の目標の大人に決定してしまった。


「それでは自己紹介をしてもらいましょう。じゃあ青山さん、どうぞ」


「は、はいっ!」

慌てて立つさっきの女の子みたいな少年。やはり女の子みたいだ。

「あ、青山光昭です。良く間違われるんですが、僕は男です。よ、よろしくお願いします・・・」

最後ぐらいから消え入りそうな声に変わっていったのは、男だって宣言したときに周りからどよめきが起こったからだ。やっぱりみんなもそう思うよね・・・。


どんどん自己紹介も過ぎていき、次はひろにぃの番となった。


「では白川くん」





・・・・・・あれ?



いつまでたってもひろにぃの自己紹介が始まらない。嫌な予感がして隣を見ると―――。


「Zzz・・・」



机に突っ伏してピクリとも動かないひろにぃの姿が、そこにはあった。


「ちょっとひろにぃっ!次ひろにぃだよ!?」

「んんー?」


ふぅ、ようやく起きてくれた。その場に立って自己紹介を―――。





「眠いんでまた後で」



ガクッ



教室中の生徒が崩れ落ちた。いや、比喩じゃないよ。


「ちょっとひろにぃっ!それはいくらなんでもまずいって!!」


「うるさい、黙れ、寝かせろ」


「なっ―――」


「うるさい、黙れ、寝かせろ」


「ちょっ―――」


「うるさい、黙れ、寝かせろ」


「あの―――」


「うるさい、黙れ、寝かせろ」


ぐすん。ひろにぃが苛める。

同じ言葉しか喋らない昔のゲームのNPCのごとく、それからは誰に対してもそんな風に受け答えするようになってしまったので、先生も諦めて次の人に飛ばす。すみません先生。


そしていよいよ私の番に。

「寺崎さん」

「はい」

よし!なんとか裏変えらずにすんだ。

「寺崎飛鳥です。趣味は料理全般です。よろしくお願いします」


ふふふ、完璧だ。我ながら猫被りがうますぎる。



自画自賛しながら他の人の自己紹介を聞いていく、そしてあの男の番に。



「萩原隼人っす。将来アイドルになるんで、今の内にサイン欲しい人は言ってくださいっ。よろしくおねがいしまーす」



・・・・・。



教室内の空気が凍った。何この気まずさ、先生も引き吊ってるじゃない!


「じゃ、じゃあ次は日向さん」

あ、さっきの綺麗な子だ。このタイミングで次なんて運のない―――。



「初めまして日向夕陽です。趣味はピアノを少々。一年間どうぞよろしくお願いします」


ま、眩しいっ!眩しすぎて直視できないっ!

太陽のような笑みを浮かべる日向さん。周りの生徒も気圧されてるよっ!



そんなこんなで無事?に自己紹介が終わった。ひろにぃの周りの人があまりに個性的すぎたがために、他の人がふざけられなかった感があったのだが、それは仕方の無いことだろう。



そんなぐだぐだな自己紹介の後、色々な説明を受けてHRを終えた。

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