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6話目 4月12日 キスと書いてちゅーと読む

4月12日続き5


 和佳、なんとか希望のある話が聞けたよ・・よかった。

 絶対に帰ってくる。絶対にね。君にも新しい家族にも会いたいから。



 ・・・・・・あとさ、絶対に浮気なんてしてないよ。

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「さてと、まなぶん、君には聞きたい事がある」


 サンドイッチ(なぜか部屋の前においてあった)片手に小石川と会話をしていた。

 諸悪の根源だろうが、なんだろうが、今は情報を集めることが先決だ。


「イエスかノーかで答えて欲しい。本来なら君が必要だと思うことを説明してもらった方が早いんだが、君に任せると日が暮れそうなんでね」


「もう、あなたったら。こんなに早くあたしのこと理解できるなんて、さ・す・が」


 絶対に突っ込まない、突っ込んだら負けだ。しななんて作らないでくれ。


「ずばり聞くが、君もこっちに呼び出されたのだろう。

それも随分昔に。大体2,3百年前、若干自信がないが、オーダーとしてはあっている筈だ」


「ちょっと待って。なんでそんなことが分かるの?」


 不思議そうな顔で聞く小石川。本当は無駄話はしたくないんだが、学者の血が騒いでしまった。


「別に難しくはないさ。君だけが日本語が話せて、しかも微妙な文化も知っている。その一方で他の人は 全く日本語が話せない。

 もちろん他の推測も考えられるが、一番可能性があるのは、君も呼び出されたってだけのこと。

 そんなほいほい別の世界の事が覗ける技術なんてあったら嫌だしね。


 そして、どうも彼らはこの召喚とやらに不慣れな印象を受ける。

 少なくても数世代の間は、この召喚は、なされていないはずだ。

 しかしながら、500年以上も召喚していないのであれば技術そのものが失われている可能性が高い」


「かしこいわねぇ~…他には、他には?」

 そのワクワク顔、たまらないんだ。たとえ相手が変態中年だろうがね。


「あと君が呼び出されたときは…おそらく、同じように何人も召喚されたんだろう?

 でなければ、あんな15分なんて具体的な数字が出せるわけがない。

 あまり想像したくはないが、実際にデコピンするのが遅れて、破裂してしまった人もいたんじゃないか?」


「まるで千里眼ね…ええ全部今の所あなたの言うとおり。あたしが召喚されたのも300年前よ。そしてその時は100人近く召喚されたわ」

 昔を思い出したのか、神妙な顔つきになる。あんまり変態中年には、シリアスになってほしくないな。もう少し深く掘りたい話だったが、辞めておこう。


「これで僕からの推測は最後になるが、まなぶん、君が今の姿になったのは、実はさっきのが初めてだったんじゃないか?

 あの説明書を軽々しく僕に持たせっぱなしにした理由がそうでないと説明できないし…

 君が前からこういう姿になれるのであればさっきの推論も成り立たないってのもある」


「う・・う・・・」

 小石川の眼が潤む。いや怖い。きっと感動しているのだろうけど不気味だ。これならまださっきの顔つきのほうが良かった。


「……さっすがダーリン! あたしの事なら何でも分かってそうね、惚れちゃいそう。。」

 それだけは辞めてくれ。頼むから、本当に。


「ふぅ…こっから先はさすがに君に説明してもらうしかないな。

 ゴムパッチン魔法だっけ?大体の想像はついてるが・・憶測が過ぎてね。具体的にどんな魔法なんだい?」


「愛と正義と心意気のゴムパッチン魔法の事ね!・・・・・あ、うーん・・・・っとね」

 なぜか言いよどむ。あとなんでいつも微妙に前振りが変わるんだろう。


「多分、あなたの想像以上の事はあたしも分かってないと思う。

 異世界を渡るには、どうも愛情っていうのがエネルギーになって、愛され役はこっちにいればいるほどエネルギーがたまって、ゴムパッチンみたいに、解き放つと、その勢いで元の世界に戻るみたいなんだけど…」


 がっくりきた…まさかこれも予想通りか…


「聞きたくないんだが…まさか、愛し役の方の元の世界への戻り方を知らないってわけじゃないだろうな?」


「え…えーとね。うん…そう。でももしかしたらあたしが知らないだけで、帰れた人はいたかもしれないし、あたしを召喚した人も理論的には可能、って言ってたから」


「本当か!本当なんだな、それは。理論的には可能っていうのは事実なんだな」

 予想していない答えだった。帰れた人はいたかもしれないし、理論的には可能っというのは予期していない吉報。

 久しぶりに良い意味で興奮したかもしれない。気づくと小石川の肩を掴んでいた。


「本当だけど、ちょっと力まないで!華奢なのよ、あたし。そんなに強く揺さぶると、あんっ」


 現実に急速に戻された…そんな声だされるとさすがに萎えてしまう。

 でも先ほどの吉報は、ありがたかった。

 理論的に可能な事を現実に技術にしてしまうことこそが、僕のような工学者の使命だ。不可能のハズがない。


 ん、あ、そうだ、大事な事を聞き忘れてた。まぁ、疑問なんていくらでもあるんだが、これは聞いておかないと。


「なんで僕らが召喚されたのか、分かるかい?」

 ん、ちょっと質問が違うな。彼らの様子からして僕はランダムで選ばれたように見えたから・・

 どちらかというと、なんで彼らが召喚なんてしたのか?のが正しいな。言い直そうと思った瞬間、小石川が口を開く。


「わからないわよ。ここ300年近くの間は平和の時代だったし…でもさ、彼らに聞けばいいじゃないの」


 いや聞ければ苦労しないって・・

 そうか!小石川の方を見る。


「そうあたしがいるじゃないの。ここの言葉が分かるあたしが。よろしくね!・・・ってまだあなたの名前も知らなかったわ、あたし」

 ああ、なるべくなら関わりたくないタイプの人だからな。しかし、これとそれとじゃ話は別だ。


「岳だ。桝居岳(ますいがく)。よろしくな、相棒」


 また眼を潤ます、小石川。いやその顔つきは辞めて欲しいんだが。余計な事を言ってしまったか…


「本当ならもうどうだっていいんだけど…あなたとは離れたくないしね。

だってだって、あなたとあたしは心と心で結ばれたパートナーなんだもん!!」


 飛びついてきた。顔に。ちょっ‥このタイミングは避けられない‥唇が…近づいてくる。



「パパだー!!ってあーーーーー!!パパが知らないおじさんとちゅーしてる!!」





 依知留会えるのは嬉しいが何でこんなタイミングで来るんだ…

 …頼むから…今見た事を忘れてくれ…

 なあ頼むよ。

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