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天然危険物

【天然危険物】AI文士の脅威と共生の可能性について

作者: 黒崎かずや
掲載日:2025/10/31

挿絵(By みてみん)



黒崎 「こんにちは。どんだけ鳴かず飛ばずでも闇堕ちしないピュアピュアな本格ワナビ、黒崎かずやです」

チロン 「その本格イマジナリー相棒のチロンちゃんなのです」

黒 「某小説投稿サイトでAI使用をうたう作者の作品が日間ランキングのトップになり、創作界隈を騒然とさせている。そこで今回は、小説というジャンルにおける生成AIの脅威と共存の可能性についてグダクダ考えてみるぞなもし」

チ 「合点承知がってんしょうちぞなもし」


黒 「──と、その前に、あらためて僕様の生成AIに対するスタンスを明確にしておきたい」

チ 「反AIですよね? 反反界隈の反AIブロック推奨リストに載ってるぐらいですから」


黒 「確かに、膨大な著作物を無断機械学習している現状の生成AIには反対だ。それを平気で使う人も含めて醜悪グロテスクだと思ってる。が、無断機械学習していない生成AIなら問題無いし、僕様も資料集めや校正に使いたいと思ってるよ」

チ 「ほー。今のところミツアだけですよね、第三者機関からクリーンだとお墨付きをもらってる生成AIは。御主人はミツアを使ってるのです?」


黒 「いや、使ってない。失礼ながら、使いたいと思える性能に達していないんで」

チ 「やっぱ、生成AIは著作物をアホほど食い逃げしないと育たないのでしょうか……」

チ 「原理的に〝回答合成型検索エンジン〟である以上、データセットの物量が性能に直結するからな。だからこそ資金力のあるビッグテックに〝正当な対価を払っての機械学習〟を期待してるんだが、現状は惨憺さんたんたるものだ」

チ 「フェアユースだと言い張ってやりたい放題ですもんね……」


黒 「その方針を続けてる限り、法的にも道義的にもリスクがありすぎて商業利用できないから、まるで商売にならないんだけどな。

 だから、ほぼ全ての生成AI事業は赤字続き。黒字化できるメドすら立てられず、追加投資で食いつないでる有様だ。

 次々と起こされる訴訟の費用や莫大な和解金の負担も増すばかりだし、いつまでもつか見物さな」

チ 「もしかして、ある日いきなり破綻ぽっくりするんじゃないかなー、なんて密かに期待わくわくしてません?」

黒 「実はしてる」

チ 「ですよね。それでこそ御主人なのです」


黒 「ともあれ現状の(ミツア以外の)生成AIを使うのはクリエータとして論外、ってのが僕様のスタンスだ。なので、ここでは〝将来的にクリーンかつ高性能な完全オプトインの生成AIが登場したら〟という前提で語るものとする」

チ 「ふむ。良きにはからえ、なのです」



【AI文士の脅威】


黒 「では本題に入ろう」

チ 「え? 待って。なんか変な単語が出てきたんですけど──と、ツイフェミ構文で言ってみたり」

黒 「AI文士のことかー!!!! とカカロット風味で言ってみたり」

チ 「〝本タジー〟が浸透したからって調子に乗って新たな造語を作りやがるとは、どこぞの総帥も怒り心頭に発してやまないヤンチャ坊主なのです」


黒 「イヤな冗談はさておき、AI文士の意味は解るだろ?」

チ 「小説作りに生成AIを使う人の総称?」

黒 「その通り。ある意味でついをなす〝AI絵師〟との語呂がよかろうと、あえて文士と呼んでみた。どうよ、このセンス」

チ 「ドヤ顔するほどではないのです」

黒 「なお、いわゆるポン出しに限らず、多少なりとも生成AIを使ってる物書きは全てAI文士と呼ぶものとする」

チ 「らじゃ」



黒 「で、ようやく本題。AI文士がランキング上位に鎮座すること、どう思う?」

チ 「作者ものかきとしては由々(ゆゆ)しき問題だろうなと思う反面、読者にとってはどーでもいいのかも──と推察するボク様の知性を褒めちぎるがよいのです」

黒 「まあ、正論ではあるな」

チ 「ならば存分に褒めちぎるのです」

黒 「いや、正論といったのはそこじゃねーし」

チ 「むー」


黒 「遺憾ながら、面白ければ作者が人間だろうがAIだろうが関係ねーし、って読者が多いのは事実だ。でなきゃAI文士がランキング上位になることはあるまい」

チ 「うん。当然なのです」

黒 「しかし長い目でみた場合、AI文士の跋扈はまっこは読者にとってもよろしくない状況をまねくおそれがあるのよね」

チ 「ほほー。それは興味深いのです」


黒 「AI文士のなかには、毎日数十本もの作品を投稿してる人がいる。それだけの量だと推敲すらままならないだろうから、基本的にAI生成物をそのまま使う〝ポン出し〟と思われる。

 そうなると純粋に創作を楽しんでいるとは考えにくく、収益分配リワードシステムによる小遣い稼ぎが目的なのだろう。

 実際、リワードシステムがある小説投稿サイトほどAI文士が多いようだし」

チ 「それが、どうして読者の不利益になるのです?」


黒 「その種のAI文士が大発生すれば投稿数が激増し、今以上に読者の争奪戦が激しくなるわな」

チ 「供給過多になると」

黒 「そう。ただでさえWeb小説は供給過多で、それゆえに〝埋もれる〟作品が星の数ほどあるのに、更に日々大量のAI作文が投稿されたら、どうなるか。当然、今よりも更に読まれにくくなる」


チ 「でも、本当に面白い作品なら埋もれたままにはならないのでは? なんて言ってみたり」

黒 「よくそう言う人がいるけど、考えてみなよ。

読者にしてみれば、作品数が増えれば増えるほど作品ガチャで良作を引き当てる確率が下がる。つまり作者にとっては〝引き当ててもらえる〟確率が下がるわけだ。結果、良作が埋もれ続ける蓋然性がいぜんせいが高まる。だろ?」

チ 「んー、確かにそうかもなのです」


黒 「そうしてどんどん読まれにくくなると、モチベを保てず筆を折る書き手が増え、相対的にAI文士が増える。

 しかし、AI文士は流行テンプレには強いが、新しい流行を生み出せるかというと、はなはだ疑問がある。生成AIは原理上、既存の作品に依存してるからだ。

 なのでAI文士の増加に反比例して、読者が斬新な作品に出会えるチャンスは減ってゆく。

 その現象はラノベのみならず、いずれは文学全般に及び、小説というもの自体が陳腐化しかねない。それは作者にとっても読者にとっても、イヤな未来だわな」

チ 「むー。なんだか大きな話になってきたのです」


黒 「つまるところAI文士の驚異の本質は、その作品の質ではなく、量なのよ。

 たとえば日本に先んじてAI文士が増えている中国では、小説の賞レースが機能しなくなってきてるという。あまりにも大量のAI作文が押し寄せ、まともに選考できなくなったからだ」

チ 「なら、下読みさんを増やせばいいのでは?」

黒 「その程度じゃ対応できない状況なんだろうさ。下読みを増やすにしたってコスト的に限界があるだろうし、選考の質の担保の問題もあるからな」

チ 「なるほど」


黒 「で、新人作家が賞レースからデビューすることがほぼ困難になり、有力な作家や評論家に推薦してもらうしかなくなったんだとか」

チ 「あう。それだと余計に間口が狭くなりそうですね。日本も、そうなりかねないのです?」

黒 「可能性は十二分にあるんじゃないかな。

 ならば今後も増え続けるであろうAI文士とどう付き合うかって話だが、そこには三つの選択肢が考えられる。


 ひとつめは、AI文士の完全排除。

 ふたつめは、棲み分けるかたちでの共存。

 みっつめは、AI文士の〝強み〟を奪うシステムを構築し、絶対数を減らす。


 次は、それぞれの実現性について考えてみよう」



【AI文士を排除できるのか】


黒 「一番ラジカルな対処法はAI文士を排除することさな。が、結論から言うと、これはまず無理」

チ 「でしょうね。そもそもAI作文かどうか判断するのが難しいのです」

黒 「実は小説や論文などを査読し、人間が書いたものであることを証明してくれるサービスがあるんだけど、それとて完璧ではないし──信頼度の高い査読サービスほど無料ただってわけにはいかないだろうからなぁ」

黒 「手間も時間もおカネもかかるんじゃ、素人物書きさんが気軽に使えるものじゃないですね」

黒 「かといって小説投稿サイトや賞レースに査読システムを組みこもうにも、コスト的にまず無理だろう」

チ 「AI文士の完全排除は不可能なのですね」



【AI文士との棲み分けは可能か】


黒 「となるとAI文士と共存するしかないんだけど、それにはふたつの方法が考えられる。第一の方法は〝棲み分ける〟だ」

チ 「それって要は隔離するってことじゃ──」

黒 「そうとも言う」

チ 「なら、そう言えや腐れポコ◯ン野郎が、と思わず口にしかけるボク様なのであった」

黒 「言ってるぞ貴様」

チ 「あやや。ボク様としたことがなんたる失態。

いつのまにやら特殊スキル〝ドジっ子〟が付与されていた可能性ありげ?」

黒 「いや、微塵もねーし」


チ 「……それはさておき、AI文士を隔離するというのは、なろうが異世界転生を切り離したみたいに、AI小説という新しいカテゴリーを作るってことですよね?」

黒 「そう。賞レースも生成AIの使用・不使用で分ける」

チ 「できるのです? さっきの話の通り、AI文士かどうか見極めるのは難しい。ポン出し作文ならまだしも、アイデア出しや校正にAIを使ってるケースを見抜くのは不可能なのです」

黒 「まあ、ぶっちゃけそこはAI文士さんの良識に頼らざるをえないな」


チ 「無断機械学習の生成AIを平気で使う人に、良識なんてものがあるんでしょうか」

黒 「それを言っちゃあおしまいよ。なればこそ、ここでは〝クリーンかつ高性能な完全オプトインの生成AIが登場したら〟と前置きしたわけで」

チ 「あ、なるほど。そうだったのですね」

黒 「もっとも、生成AIがクリーンであろうがなかろうが、AI作文の大量発生が界隈に与える影響に大した違いはないんだけどね。だから今すぐにでも対策が必要なのよ」


チ 「でも御主人? AI文士を隔離しようにも、判別が困難な以上、隠れAI文士が増えるだけなのでは?」

黒 「ああ。かなしいかな、そうなる可能性は否定できない。てか、そうなるわな。

 無断機械学習に起因する法的リスクがある限り、

出版社がAI文士を積極的にスカウトすることはあるまいし、その傾向はますます強くなってる。契約時に生成AI不使用の誓約書を書かせるレーベルもあるようだ。

 法的にクリーンで実用に耐えうる生成AIが現れたら話は変わってくるが、かなり先のことだろう」


チ 「となれば、こっそり生成AIを使う隠れAI文士さんが増えますよね。間違いなく。下手をすると一匹みたら百匹いると思え的なレベルで」

黒 「〝匹〟で数えるなよw まあ、言ってることは正しいが」

チ 「でしょ、でしょ? だったら隔離政策は役に立たないザル法なのです。いわばフニャ◯ンなのです」

黒 「そのたとえはおかしくね?」



【AI文士の〝強み〟を奪う】


黒 「そんなこんなで排除も隔離も難しいってことは、おわかり?」

チ 「おわかりなのです」

黒 「しからばAI文士の〝強み〟を無くすシステムを作り、懸念の本丸であるポン出しAI文士さんにえてもらうしかないさな」

チ 「具体的に説明しやがりくださいなのです」


黒 「AI文士の最大の強みは大量生産能力にある。だったら全てのユーザーの1日の投稿回数を制限すればいいのさ。賞レースでは応募できる作品数を制限すればいい。

 これなら、いちいちAI文士を判別する必要もないし、システムさえ作ってしまえばランニング・コストは微々たるものだ」

チ 「それって人間様にもデメリットありません?」

黒 「まず無い。毎日何十本も投稿する人が大勢いるとは思えないし、賞レースだって一人5作品ぐらいに制限しても影響は軽微だろうさ」

チ 「なんか複垢作る人が増えそうですね……」

黒 「そこは運営さんに頑張ってもらって、徹底的に抹殺《BAN》してもらうしかないな。

 ポン出しAI文士の悪影響を最小限にとどめるには、この方法しかないのだから。

 投稿数を制限すれば、リワード稼ぎが狙いのパラサイトも抑制できるしね」



【まとめ】


黒 「なろうリワードによる収益分配が始まったこともあり、なろうにもますますAI文士が増えることが予想される。好きで小説を書いてる物書きにとって、リワード狙いのパラサイトAI文士は荒らしに等しく、はっきり言って目障めざわりでしかない。

 そこで是非とも対処してほしく、僭越せんえつながらエッセイというかたちで意見具申させていただいた次第。

 ちなみにヒナちゃんにも同様の投書をしてます。


 Xとかで生成AIに批判的なことを言うと、途端に敵意ましましの反論や中傷が殺到するんだけど、意思表示するからには耳を塞いじゃいけないと思うんで、感想欄は開けておきます。

 レスバは不毛なので応答はしませんが、頂戴した感想には全て目を通し、今後の参考とさせていただきます」


チ 「むむ、性悪がモットーの御主人にあるまじき優等生トークなのです。こうなったら不肖ふしょうチロンちゃんが腕によりをかけた暴言でげっ焦げになるまで炎上させることもやむなしなのです」

黒 「それはドバイの大富豪に言い値で売りさばく刑に処すこともやむなしだな」

チ 「ひー、ヤギ活は堪忍なのです」



──終劇──



おまけ

挿絵(By みてみん)

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