こんぺいとうの聖女
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魔力で星が瞬く、不思議な世界のお話です。
別の世界で亡くなった人が、「ちいさなこども」に生まれ変わることがありました。
ある日、別の世界のひとりの女の子が、その世界に生まれ変わりました。
生まれ変わった姿は、「もっとちいさな女の子」
名前は ルミナ です。
ルミナには、生まれ変わる前、とても大切な妹がいました。
どんな時でも、守ってあげたい。
けれど、家に女の子がふたりきり。
ある日、買い物から帰ると、妹はいなくなっていました。
「もっと、わたしがつよかったら……!」
ルミナになる前の女の子は、妹を探すため、あちこちをさ迷い、倒れてしまったのです。
女の子がルミナになったこの世界では、ルミナは魔法が使えました。
きれいな「こんぺいとう」を生み出す力です。
でもルミナには、ただきれいなだけの魔法に思えました。
「こんな まほうで だれを まもれるの……?」
ルミナは、おいしいこんぺいとうを作っても、さびしくむなしい気持ちでした。
ところが、ルミナの作る「こんぺいとう」には、不思議な力がありました
病気でコンコン苦しむ人にこんぺいとうを分けると、たちまち元気になりました。
魔物にやられた傷だらけの人にこんぺいとうを渡すと、みるみる傷が治りました。
「わたしの こんぺいとうも やくにたつのね!」
やがてルミナは、大きくなり、ふわふわとした金色の髪がきらきらして、あおあおとした星のかけらのような目の、かわいい子になりました。
ちいさな体もすっかり大きくなり、こんぺいとうの魔法を、使いこなせるようになりました。
ちょっとした魔物なら 巨大化したこんぺいとうで、ストライク!
魔物は、物理的に星になりました。
「これなら 旅に でられるわ!」
強くなったルミナは、生まれ変わる前の妹も、こちらの世界に来ているかもしれない。そう思って、旅に出ることにしました。
ある日、世界のすみっこの、へんぴな村にたどり着きました。
そこには元気をなくした子どもたちが、たくさんいました。
食べるものがなく、みんな疲れきっていました。
「妹も、こんなふうにおなかをすかせて、つらかったかもしれない……。」
ルミナは ありったけの魔力でこんぺいとうをつくり、子どもたちに分けてあげました。
「食べてみて!」
子どもたちはこんぺいとうを口にしました。
すると、みるみる笑顔に!
「ありがとう、せいじょさま!」
「こんぺいとうのせいじょさま!」
子どもたちにぎゅっと抱きしめられたルミナは、嬉しくなりました。
「こんぺいとうって、みんなを元気にして、しあわせにできるんだね……!」
ルミナは、こんぺいとうのほんとうの力に気づいたのです。
あまいこんぺいとうは「みんなをしあわせにするちから」
この魔法は、大切な人を守り、救うための力だということに。
あたたかな気持ちになったルミナは、ふと、ひとりの村の子が、じっとこちらを見ていることに気付きました。
「このせかいで だいすきな こんぺいとうが また 食べれるの?」
そっとつぶやく言葉に、ルミナはどきりとします。
こんぺいとうは、生まれ変わる前の、妹の大好物でした。
ルミナは、きらきらした魔力で星のような金色のこんぺいとうを作り、その子に渡しました。
「食べてみて! とてもおいしいよ!」
ひとくち、ふたくち、あっという間にたいらげました。
「前と同じだ! おねえちゃんのこんぺいとうだ!」
村の子は、はじめて食べたはずのこんぺいとうで、そんなことを言うのです。
その笑顔を見て、ルミナは、思わず涙を流しました。
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おやすみなさい。
ゆめのなかで、こんぺいとうのほしがきらきらとまたたきますように。