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ふたりのラプソディ  作者: ほしまいこ
第六章 ふたりの旅行
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第一節 夜間飛行

ふたりのミニ休暇編です。

第一話 ふたりの旅

<椎名の準備: 旅立ち前>


アダンは初めての沖縄旅行で、準備がなかなか進まない。

俺はアダンの荷物を手早く揃えて、確認だけお願いした。


「アダン、荷物は最低限のでいいぞ。俺のボストンバッグに入り切る程度で。

ホテルのクリーニングもあるし、服も2日分くらいでいいぞ。

それと、イチコのご飯と薬類、遊び道具とトイレのグッズはこの袋にまとめた。シッターさんにメモを書いたから確認しておいてくれ」


アダンはほっとした表情で、サンキュと言って、イチコのグッズを確認して、イチコにお留守番を改めて頼んだ。


「イチコ、3日位留守にするから、シッターさんの言うことをキチンと聞くんだぞ。

良いか、3回夜が来たら、俺たちは帰って来るから、キチンとご飯食べて、トイレするんだぞ、いいか?」


イチコを抱き上げて、頭頂にチュッとキスをしている。

イチコは意外と冷静で、まるでゆっくりしてこいと言うような目線を送って、ナーンと鳴いてベットに入ってしまった。


俺たちはまとめた荷物を最終チェックした。

在宅勤務が終わったらすぐに、沖縄行きの19時の便に乗ることになっている。


遅くに沖縄入りとなり、今日は沖縄市内のビジネスホテル泊まりになるが、1日でも早く着いて翌日から行動したかった。


準備の終わったアダンが、17時の仕事終わりに向けて最終業務を進める中、嬉しそうに俺に言った。


「晴一、旅行ありがとうな。俺、こんなにワクワクすること久しぶりだよ。

8月の沖縄はベストシーズンだな。俺、行きたいお店をいくつかピックアップしたんだ。一緒に美味しいもの食べよう」


ガイドブック片手に、仕事もそつなく対応するアダンの頭のキレに改めて関心すると共に、初めての旅行が俺と一緒だということに俺の気持ちは浮き立っていた。


俺たちは定時の業務終了と共に、荷物を片手にイチコに挨拶して家を出た。


今から、2人だけの自宅以外のプライベート時間が始まる。

空はまだ西日がうっすらとさす程度だった。



第二話 沖縄へ

<椎名の休暇: 初めてのフライト>


羽田空港は夏休みと言うこともあり、そこそこ混んでいた。


アダンは地元の札幌や仕事での出張以外は空港を使わないため、旅行での羽田利用は初めてだ。俺はラウンジに早めに入って、コーヒーでも飲もうとアダンと早めにチェックインを済ませた。


「羽田空港にカード利用者向けのラウンジがあるんだな。始めて知ったよ。広くて快適だな!今日の飛行機、あれかな?」


アダンは空港のラウンジのラグジュアリな椅子に荷物を置き、夕日に染まった滑走路を眺めている。


俺としても、沖縄旅行は恋人と行くのはこれが始めてだ。学生時代に、空手部の合宿で俺の流派の発祥と言われる沖縄に行ったことはあるが、旅行では始めてだ。


今回の旅行は、アダンと意見の一致した恩納村のホテルにした。

初日の今日は国際通りのビジネスホテルだ。今夜は観光地の国際通りで夕飯を楽しむ予定だ。


カジュアルにジーンズにTシャツ、その上にリネンの白いシャツを羽織ったアダンは、俺から見ても可愛いイケメンの大学生にしか見えない。

俺は年相応に、同じくジーンズにアイボリーのシャツを羽織っているが、どう見ても年上に見えるだろう。


程なくして、飛行機の搭乗案内が始まった。アダンを機内の窓際に座らせ、俺たちは西日の沈む方に向かって飛行機が飛ぶのを窓辺から眺めた。


いつも、自宅の3階から眺める景色が、今日は飛行機からまた違う形で目に映る。


俺はアダンの腰に手を回し引き寄せた。そして、周囲に気付かれないようにそっと髪にキスをして、耳元で沖縄が楽しみだと囁いた。


アダンは頬を赤らめて、うんと頷き、俺の手をギュッと握り返して、目線を窓辺に戻した。


その西日を反射した金色の瞳には、今まで見たことのない希望と楽しみに期待を膨らました、子供のような輝きが映り込んでいた。


俺たちは暮れゆく空の夜間飛行を、そっと寄り添って楽しんだ。


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