最終試験3
──────中央基地本部庁舎内・作戦指令室──────
「ほう、ティターニアもなかなかやりますな。」
「33部隊の連中、手加減してるんじゃないのか?」
「いやいや、奴らはそんな真似しませんよ。」
「だったら、ティターニアの実力、侮れませんな。」
指令室では始まった戦闘に、各々好き勝手論評をする。
ジジジジジジ……ブツッ…!
戦闘が盛り上がりを見せる中、
突如モニターの映像が乱れ、
すべての画面が消えた。
「おいおい、どうなっている!」
「何が起こったのだ!」
「責任者は誰だ!! 説明せんか!!!」
「早く復旧させんか!!」
指令室の多くの将校たちは、
予期せぬ状況に対し、一斉に声を荒げた。
サンダースは、一人冷静にこの状況を見つめた。
「…まさか…奴らが…。」
──────演習林・交戦地点──────
33部隊・テオ・ミノスは、
ティターニア機が正面の隊長機と、
イアニス機に気を取られている隙に、
ティターニア機の背後へ回る。
「悪いな受験生、これも任務なんでな。」
テオは背後から、躊躇なく衝撃ペイント弾を撃つ。
ドシュン!!!
しかし、しっかりと狙いを定めたはずのテオの弾は空をきった。
「マジかよ!?」
ドシュン!!!ドシュン!!!ドシュン!!!
テオは、すぐに連続して衝撃ペイント弾を撃つが、ことごとく外す。
「か、かわした…!? この距離でか…」
(あっぶねー!!!!!)
オレは背後に、異常な緊張を感じ、
感覚のなすがままに機体を動かした。
その後も、撃たれ続けるがギリギリのところでかわす。
最初にライデンシャフトを操縦した時の興奮がよみがえってくる。
<タツヤ…すごい!!>
(あいつかー!!)
オレは背後を狙った機体へ、
衝撃ペイント弾を撃ちながら、急接近する。
<タツヤ、やっちゃえー!!>
相手はシールドで弾を防ぐが、
オレはお構いなしに撃ち続ける。
そして、距離が縮まったところで、
お互い兵装を模擬衝撃刀に変える。
オレは勢いをつけ衝撃刀を打ちおろす。
相手はオレの最初の打ち込みをかわし、水平に刀を振る。
オレは刀で斬撃を受け流し、今度は刀を振り上げた。
テオ機とティターニア機が接近戦を繰り広げている───
その様子を、33部隊・隊長シングウェルは離れた場所から確認すると、
テオに無線で呼びかけた。
「離れろテオ! 距離をとれ! こちらから狙撃をする!!」
「……」
テオからの応答がない。
「テオ!! 邪魔だ! どくんだ!!」
「……」
テオからの応答はなかった。
「イアニス、イアニス、こちらシングウェル。イアニス応答せよ!」
「……」
イアニスからも応答がない。
「ちっ、こんな時に無線が使えんとは…」
「隊長、隊長! テオ! 応答せよ、こちらイアニス……」
イアニスもまた無線が使えない状況に、困惑した。
『───ターゲット捕捉…』
不気味な声が正体不明機のコックピットに響く。
突如、茂みの影から砲身が現れた。
砲身は、照準をさだめるため小刻みに動く。
薄暗い正体不明機のコックピット、
メインモニターは接近戦を繰り広げる二機のライデンシャフトを映し出す。
『くっくっく…もらった…!』
不気味な笑い声とともに、
魔導砲が放たれる。
ドシュウウウウウウ!!!!
(!!!!!!)
(な、何だ、この違和感…!?)
今度は、オレの背筋に激烈な緊張が走った。
(やばい─────────っ!!!!)
オレは反射的に回避行動をとった。
ギャリイイイイイ!!!!!!!
(かわしきれなかった!?)
魔導砲は、オレたちのライデンシャフトの肩をかすった。
そして、オレの正面にいたライデンシャフトの胸を貫いた。
<タツヤ離れて!!!!
爆発する!!!!>
オレは慌ててその場から離脱した。
ドゴオオオオオ!!!!
テオの乗ったライデンシャフトは爆発した。
『ちっ、一度に2機とはいかなかったか…。』
リゼルたちの前に、
もう1機のライデンシャフトが現れた。
新たに出現したライデンシャフトは、
砲身の長い魔導砲を構えている。
『まぁよい…、
どうせ、お前らは皆殺しだ…!!』
正体不明のライデンシャフトは、
ドシュン!!! ドシュン!!!
再び魔導砲を放った。




