ミレーネの捜索3
「結局、つべこべ言ったって、
オレは森へ行く運命なのか!!
ちくしょー!!!」
オレはあまりの悔しさを声に出してみる。
(自殺行為だ…、どうかしてるって…。
なんで止められないんだ…。)
<……>
(何なんだよー、まったく!!、
もっと楽に賢者とか勇者に、
なれるんじゃなかったのかよ!!)
<……>
(リゼルも黙ってないで、何とか言えよ!)
<タツヤ、僕ワクワクしてきた!>
(え!?ワクワク!?)
(こんな時に何言ってんだよ!!まったく!)
オレは、リゼルの家を後にして森へ一直線に向かう。
(ちょ、ちょっとまてよ…、
もしかして、嫌だ嫌だと言いながら、
実はオレ自身も……本心では森へ行きたがってる?)
オレは自問自答する。
(…いや、それはない。)
オレは自分の気持ちを再確認する。
そして、違う角度からもアプローチする。
(こんな恐ろしい状況だからこそ、
ライデンシャフトに強く惹かれる、
そんな気が……。)
自分の答えは、
(………さっぱり、しない。)
わかりきっていた。
しばらくオレは、
ゴチャゴチャと考えながら走った。
「はあっ… はあっ… はあっ…。」
気づけば随分と森の中へ来ていた。
(息が……、苦しい……。)
「ぜぇ… ぜぇ…。」
(…そりゃ…当然だ…、
半年間…寝たきり…だったてのに、
…いきなり…走ってるだもん…。)
<がんばってタツヤ!!あともうちょっとだよ>
元の体の持ち主がはげましてくれるが、
小さな体は悲鳴を上げ、
今すぐにでもぶっ倒れそうだ。
(くっそー……、
なんで…こんな…つらい思い、
…してんだオレ…。)
(意識が…ボンヤリ…して、
はぁっ…はぁっ……。)
バタッ!!
とうとうオレは、
足がもつれ倒れてしまった。
(…もう…限界…。)
オレは仰向けになった。
すると、
(…焦げ…臭い…?)
異臭が鼻を衝いた。
途端に、
オレの体は勝手に起き上がった。
そして、再び走り出す。
「はあっ… はあっ…。」
<もうすぐそこだよ!!>
(…近づいて…いる…。)
オレは限界を超えて走った。
無心で走った。
(…………。)
<…………。>
その結果、オレたちは、
なんとかゴールへたどり着いた。
今オレたちの前に、
見えない力で、
この体を引き付ける、
その正体が姿を現す。
そいつは…、
甲冑をまとった巨人。
(こ…これが、本物……。)
<…うん。>
”ライデンシャフト”、
ブルージュ・ZWEIだ。
異世界の巨人は、
木々にもたれ掛かるようにして倒れていた。
機体の関節部分からは、
白い煙が立ち込めている。
「あ、あれが…。」
張り出したショルダーアーマーの装甲板と装甲板の狭間から、
光がこぼれ、鈍く怪しくゆらめいている。
「なんか…生きてるみたい……。」
<…うん。>
<かっこいい。>
(かっこいい…かも。)
二人の思いが珍しく一致した。
ピカッ!!!
ゴオオオオオオオオオオオ!!!!!
閃光と一緒に爆音が響く。
「そ、そうだった…
ここは、戦場なんだ!!」
オレは一瞬で現実へ連れ戻された。
「こんなに近くで見れたんだ、
もういいだろリゼル。」
<ううん、もうちょっとだけ…。
それに、パイロットを助けなきゃ…。
僕には…、もう時間がないみたい……。>
「もうここまで来たんだし十分でしょ!!
パイロット助けるって、
だいたい、生きてるかどうかもわかんないんじゃん!!
それに時間がない?」
<ここまできたんだ。
僕は…やるよ。
ライデンシャフトを…操縦するんだ!!!>
「今度は…操縦!?
バ、バカ言うなって!!
パイロットを助けるんじゃなかったのかよ!!」
オレは軽くパニックになる。
「いきなり何言い出すかと思ったら、
操縦する!?、
操縦するって言ったって……
そう簡単にはいかないだろ、
車の運転だって、教習所に通って、
仮免取って、それからやっと路上に出て…。
いやいやとにかく、
そんな簡単に出来るもんじゃないわけ!!
こんな巨大ロボットならなおさらだって!!」
オレには絶望的な未来しか見えなかった。
読んでいただき本当にありがとうございます。
もし『面白そうor面白かった』『続きを読んでみたい』
など思われた方は、ぜひブックマークや下の評価(☆が並んでいる所)をお願い致します。
皆さまのその貴重なひと手間が、作者の励みになります。




