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【機体イラストあり!】機導大戰ライデンシャフト~転生したら最弱少年で絶望したけど巨大ロボットのパイロットとしては最強みたいです~  作者: nicobear
異世界で巨大ロボットに乗ることになりました(パイロットとしての目覚め)編
20/122

シャペル村では3

 しばらくすると、

 オレはまだ病み上がりだからということで、

 みなが帰る前にベッドへ戻された。


 ベッドに入ると、リゼルが頭の中で話しかけてくる。


<僕、じいちゃんのおかげで、

 ライデンシャフトが好きになったんだ…。


 だから、じいちゃんを恨むなんて…。>


(リゼル…。)


 おれは、フォローの言葉をかけたかったが、

 すぐに思い浮かばなかった。


<タツヤ、ごめんね。

 なんか心配かけちゃった…。>


(え…、いや、心配だなんて、

 こっちこそ、

 いきなりリゼルの体に、

 お邪魔しちゃったわけで…。)


 二人の間に微妙な空気が流れる。 


<……>


(……) 


 オレはこの微妙な空気を変えようと、

 話題を変えてみる。


「屋根裏のあのオンボロってさ、

 リゼルのじいちゃんが作ったって…。」

 

 <またオンボロって……、

 確かにそうだけど。>


 リゼルは少しムッとしながらも、

 オレの話に乗ってきた。


「リゼルのじいちゃん、

 どうしてあんなの作ったんだろ?」


<そういえば……、

 作った理由、教えてもらったことないや。>


「そうか…、リゼルは知らないんだ。」


<どうやって作ったのかも、

 詳しく教えてくれないし。>


「何か言えない事情でもあるのかな?

 リゼルの話じゃ、

 昔、軍の整備兵だったって…。」


<うん…軍の整備兵を辞めて、

 この村に引っ越してきたんだって。>


「屋根裏に隠されたオンボロ装置と、

 軍を辞めた理由、

 …何か関係あるのかな。」


<うーん……、

 そんなの僕に聞かれてもわかんないよ。

 じいちゃん軍隊にいた時のことは、

 ほとんど話してくれないんだ。


 整備兵してた事だって、

 僕とじいちゃん二人だけの秘密だぞって。>


「秘密なの?」


<うん、村の人は知らないみたい。


 じいちゃんの過去とか、

 あの装置のこととか、

 秘密を守ることが、

 屋根裏部屋を使わせてくれる条件なんだ。>


「…なんか気になってきた。」


<最初に、あの装置を、

 屋根裏部屋で見つけた時、

 僕、じいちゃんにすごい怒られたんだよ。>


「あの優しそうなおじいさんが?」


<うん、今まで見たことない、

 すっごい怖い顔してた。>


「想像できない…。」


<二度と屋根裏部屋へ、

 来ちゃダメって言われたんだ。>


「…だけど…。」


<行っちゃった!

 あはは、やっぱりわかる!?>


「ま、まぁ、そうなるかなと。」


<最初はね、

 じいちゃんにまた怒られると思うと、

 怖くて行けなかったんだけど、

 どうしても、もう一回さわってみたくて、

 行っちゃった。>


「あ…、それ気持ちわかるかも。」


<それで、何回か行ってたら…。>


「…また見つかった。」


<うん、見つかっちゃった。


 僕が全然言いつけ守らないから、

 じいちゃん怒るのあきらめて、

 このことは絶対誰にも言っちゃダメだぞ!


 二人だけの秘密だって、

 それで使う事を許してくれたんだ。>


「あのオンボロ装置に、

 そんな物語があったとは…。」


<もう!!

 いちいちオンボロって、

 言わなくてもいいでしょ。>


「あ、いや、その、

 べ、別に悪気はないんですけど

 気をつけます。」


<う、うん。>


「あ、あとさ、、

 屋根裏にあった、あの本は?」


<本!?

 本は…軍隊に入る前から集めてたみたい、

 辞めてからは、

 なかなか手に入れられないんだって。


 屋根裏部屋で、少しだけど、

 軍隊で整備兵やってたこととか、

 王立科学院の話とかしてくれたんだ。>


「王立科学院…。」


<ライデンシャフトの研究してるところだよ。>


「なんか…すごい立派そうな名前。」


<何その感想。>


「え!?お、おかしかったかな…。」


<だけどさ、

 僕がどんなにあの装置で練習しても、

 パイロットは無理だって、

 じいちゃん言うんだ。>


「じいちゃん厳しい…。」


<僕は生まれつき視力が弱くて。

 僕の視力じゃ、

 パイロット候補生試験の、

 受験資格もらえないって。>


「………。」


<でもね、絶対無理だって言われて、

 僕、悔しかった。

 だから、いっぱい努力したんだ!!


 視力が良くなるように、

 いろんなことを試したし

 それから、すっごい勉強もしたし、

 あの装置でたくさん練習して、

 だから、僕絶対パイロットになるんだ!!>


(そ…その前向きなガンバり…、

 オレと……正反対。)


<左目は見えなくなっちゃたけど、

 視力は良くなったんだから、

 タツヤ、パイロット目指そうね!!>


(えっ!?オレが…?

 パイロット…目指すんですか!?)


<うん!!>


(いやいやいや、

 オレはもっと楽して、

 活躍できる異世界ファンタジー希望、

 …なんです。)





◇◇◇




 一方、宴の終わった食堂では、

 オムルやメリー、残った村の人たちが

 宴会の後片付けをしている。


「リゼルが…、

 パイロットに憧れなければ、

 あんな事故は起きなんだ…。

 わしのせいじゃ。」


 それを聞いた年配の女性が、


「オムルさんのせいじゃありませんよ…、

 あのぐらいの年の子なら、

 パイロットに憧れて何の不思議もありませんよ。」 


 優しくオムルに声をかける。

 

「…そうですよ。」


 メリーおばさんもあいづちを打つ。


 メリーおばさんは続ける。


「私じつは…、

 もうダメなんじゃないかと、

 諦めかけていましたから…。

 今日はホントに嬉しかったです。」 


 そしてそのまま、みなは片付けを続けた。

 

 オムルは、


「ルビア…。」 


 ポツリとつぶやいた。



───タツヤとリゼル───



(オレ、もっとリゼルの事、

 知らないといけないな…。)

 

 <あ…ありがとう。>


 リゼルはどこか照れくさそうだった。


 オレはあらためて、

 部屋の中を見回した。

 

 そこで、

 タンスの上にある、

 写真立てに目がとまる。


 そこには、

 今よりもずっと小さなリゼルが写っている。


<あれは、7歳ぐらいの時かな。>


 写真の中のリゼルはメガネをかけ、

 嬉しそうに機械をいじくっている。


(楽しそうじゃん。)


<うん、楽しかったよ。


 じいちゃんが言うには、

 時計とか、作業用の工作機とか、

 身の回りの機械を、

 勝手に分解して、

 村の人たちを困らせてたって。>

 

(ん…?あれ?)


 その時、突然

 頭の中に映像イメージが流れてきた。


 その映像は、

 オムルじいちゃんと一緒に、

 機械を直している

 リゼル目線のモノだった。


「…何だこれ……。」


 それから、次々とリゼル目線の映像が、

 頭の中に流れる。


───機械を分解して、じいちゃんに怒られているリゼル───



───高い木に登って降りられなくなるリゼル───



───分厚い学術書のページをめくるリゼル───



───原っぱを駆けるリゼル。



───屋根裏部屋のオンボロ装置に座って操縦桿を動かすリゼル───



 リゼルの記憶が、オレの記憶と重なっていく。


「リゼル…!!」


<タツヤ…!!>



 

 二人が互いに名前を呼んだ時、


キュオンキュオンキュオンキュオン!!!!!


ゴオオオ! ゴオオオオ!!



「───!? 何だ、この音!?」

 

 オレは飛び起きた。

 

<タツヤ!!警報だ!!>


(え”────────────!!)


<近くで戦闘が発生したんだ…!>


(マ、マジで……!?)


 そこへ、


「リゼル!避難じゃ!!」


 オムルじいちゃんが駆け込んできた。

 

「逃げる…ってどこに?」


 オレは驚きの声を上げる。


「何を言っておる、

 シェルターに決まっておるじゃろ!!」


「…シェルター…」


<タツヤ!!急いで!!>


 オレはオムルじいさんにおぶられ、

 下の階へ降りた。


 そして物置部屋にやって来ると、


「よし、リゼル降ろすぞ!!」


 オムルじいちゃんは、

 オレを背中から降ろし、


 物置部屋の床下にある鋼鉄製の扉を引き上げた。

 

 扉の奥は真っ暗だった。 


 オレはオムルじいちゃんの手をしっかり握り、

 真っ暗な階段を一段一段下っていく。

 

 少し降りたところで、

 前方に小さな光が見えてくる。

 

 うっすら見えてきたシェルター内部。


 そこは地下に掘られた大きな穴ぐらで、

 天井や壁などいたるるところを、

 大小さまざまな木材や石で補強してある。


 階段の先は、

 少し開けた空間になっていた。


 先に着いた村の人たちは、

 シェルター内をわずかに照らすランプを中心に、

 輪になって身を寄せ合っている。


ゴゴゴゴゴゴ……


 地響きが起こると、

 シェルターは大きく揺れ、

 天井から木くずや土ぼこりが落ちてくる。


(いま外で、戦闘が…。)


<うん。王国軍と帝国軍のライデンシャフトがね。>


「みな集まってきておるか…?」


 オムルじいちゃんは小さな声で尋ねた。

 

 真っ先に答えたのはメリーおばさんだ。


「オムルさん、ミレーネは?」


「メリーさんと一緒じゃないのか?」


「わたしは…、

 てっきりオムルさんと一緒だと…。」


「………」


 二人は顔を見合わせたまま、

 黙ってしまった。

 

 しかし、すぐにオムルじいちゃんが、

 沈黙を破る。

 

「わしが探してくる。」


 オムルじいちゃんが戻ろうとすると。


 その時、シェルターの中に、

 一人のおばあさんが降りてきた。


「ひいっ……はあっ……ひいっ……」


「おお、二ームばあさんか、

 無事じゃったか…。」

 

 オムルじいちゃんは、

 ニームばあさんの背中をさする。


「た、大変じゃ!!

 …王国軍が、…やられておる!!」


「!!!」

 

 その場にいる全員に衝撃が走った!


<う、嘘だー!!>


 オレの頭の中でリゼルが叫ぶ。


 重くるしい雰囲気の中、

 オムルじいちゃんが口を開く。


「この地方の王国軍部隊は精鋭ぞろいじゃ、

 …それが、そう簡単にやられるとは…。」


「間違いない…この目ではっきりと見た…。」


 そういうと、二ームばあさんは倒れこんだ。


 メリーおばさんが、

 二ームばあさんを介抱する。


「しまった!!

 今は話をしておる場合ではなかったんじゃ!!

 ミレーネ待っとれよ!!」


 じいちゃんは来た道を戻り、

 家へ向かった。


<タツヤ!!!>


(!?)


<ボクたちも行かなくちゃ!!!>


 唐突なリゼルの申し出だった。


(……えっ……!?

 え────────────!!!)


 オレは驚くしかなかった。


 オレの身体がオレの意思とは無関係に、

 じいちゃんの後を追っかけていた。










読んでいただき本当にありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 転生先の体の持ち主に意思があるパターンがとても斬新に感じました。タツヤとリゼルの会話もテンポがよく、次々とページが進みました。 [気になる点] これから、どんな形でロボットに乗り込むのか。…
[良い点] Twitterから来ました。蛙鮫です! とりあえずここまで読ませていただきました! リゼルとタツヤ。中々良いコンビですね。楽したいタツヤと明確な目標のために邁進するリゼル。正反対なのがまた…
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