異変1(王国軍対帝国軍)
───シルドビス大陸中央部・ギャラス帝国・ダントン空域───
帝国領域へと侵入した、
王国軍ライデンシャフト部隊”グレアム隊”、
彼らに5機の帝国製ライデンシャフト・ガタカⅡが迫る。
「隊長!帝国機来ます!!」
ルカ曹長からグレアムへ、
緊迫した報告が入る。
「よし、我が隊はこのまま交戦状態へ突入する!!」
グレアム隊の緊張が一気に高まる。
「よっしゃー!!」
「シャマ、深追いはするな。」
「わかってますよ!!」
グレアムはさらに部下へ指示を飛ばす。
「各自戦闘展開(コンバットスプレッド)!!
ルカ、マイスは、対空攻撃を警戒しつつ、
後方より支援。
おれとシャマで、ガタカを叩く!」
「「「了解!!」」」
シャマ、
「目標までの距離およそ2400!!
目標到達時間12秒前、11、10…。」
敵機との状況を確認。
グレアムは、操作パネルをコントロールし、
メインカメラで敵影を補足。
敵機体は、
帝国軍が誇る量産型ライデンシャフト
”ガタカⅡ”だ。
──────帝国製ライデンシャフト・量産型ガタカⅡ──────
王国軍ライデンシャフト・ブルージュ・ZWEI
に先行して実戦投入された、
帝国製量産型ライデンシャフトである。
全長17,3m。総重量23、7t。
主な装備は、ブレード面が熱さ2000℃となる、
大型ソード”超熱ファルシオン”、
6式魔導砲、ソリッド・シールド。
機体基本色は、ダークグレー及びダークレッド。
肩部アーマーに、帝国軍の国章・氷竜”が描かれている。
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「撃墜スコアいただきますよ!!」
無線から、シャマの自信に満ちた声が響く。
グレアムは、機体右腕が握りしめる魔導砲を、
敵機に向け構えた。
帝国軍機は乱数回避機動を描きながら、
こちらへ襲い掛かってくる。
「───!?」
グレアムが照準を、
敵機に合わせようとした、その瞬間だった。
敵機との距離が急速に縮んだ。
「この加速…!?速い!!!」
百戦錬磨のグレアムも、
敵の予想外の動きの速さに、
対応が後手に回る。
敵機ガタカⅡは、
スピードを上げつつ魔導砲を放つ。
ドシュウウウウ!!!
グレアムはとっさに回避行動をとるが、
敵砲撃は機体肩部をかすめた。
「……被弾したか。」
敵機は兵装を近接用”超熱ファルシオン”に変え、
一気にグレアム機へと迫る。
敵機はグレアム機を補足、
ブゥオオオオ!!!
超熱ファルシオンを振りかざす。
ガキィイイイン!!!
グレアムは間一髪、
敵斬撃を大型シールドで受け止めた。
「くっ……!!」
しかし、”超熱ファルシオン”のブレードが、
徐々にシールドを溶解させていく。
ジジジジッ
グレアムは敵機が一瞬動きを止めた隙に、
機体胸部スラスター、
脚部スラスターを前方に向け急噴射する。
「まだまだ、そう簡単にはやられんよ!!」
グレアムは敵の圧力を外すと、
機体を宙返りをさせつつ、
敵の背に蹴りを入れる。
そして体制を立て直し、
ガタカⅡと一定の距離をとった。
「こいつは……、
いつものガタカⅡの動きじゃねぇな…?」
グレアムの顔つきは険しく、
額に汗がにじむ。
グレアムは急ぎ周囲を確認する。
「ぐああああ!!!」
シャマ機は複数のガタカⅡから猛撃を受け、
装甲に明らかなダメージを負っている。
後方で支援攻撃をする、
ルカ機、マイス機に対しても、
敵ガタカⅡが一気に襲い掛かる。
「隊長!!!!」「どうなってんだ!!」「ちっくしょう!!」
「ちっ…」
グレアム隊は劣勢だった。
その時、
帝国機ガタカⅡの無線システムが、
グレアム機に干渉してきた。
「…ら……、シス……」
グレアムは、
開放用無線の周波数を微調整する。
「…こちらは、…帝国軍中尉、
…ビシス…レイン…!」
ノイズに混じりに女の声が聞こえてくる。
グレアムにとって、
初めて聞く名前だった
「私は、グレン・グレアム。
王国軍、少佐。」
グレアムは古い儀礼にのっとり、
名と階級を答える。
久しぶりに行うパイロット同士の名乗りだった。
他の3人はこの状況に戸惑いながら、
戦っている。
「何だよー、このガタカⅡは!!!!」
「このままじゃ……!」
「なんだって、こんな戦力差が…!」
「ちっきしょ────!!…」
(一体、何が起こっている…)




