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【機体イラストあり!】機導大戰ライデンシャフト~転生したら最弱少年で絶望したけど巨大ロボットのパイロットとしては最強みたいです~  作者: nicobear
異世界で巨大ロボットに乗ることになりました(パイロットとしての目覚め)編
14/122

偵察任務1(王国軍対帝国軍)

場面変わって、王国軍パイロットの話になります。ライデンシャフト動きます。

よろしくお願いいたします。

挿絵(By みてみん)






────物語の舞台・異世界シルドビス大陸────


 シルドビス大陸中央南部、

 この地に巨大な森が存在する。


 森の名は《ダントン》。


 呼び名はかつて森に存在した森林都市《ダントン》に由来する。


 古(いにしえ)の森林都市《ダントン》は、

 大陸の東西南北を結ぶ交易の要衝として大いに栄えた、

 と古文書などに記されている。


 しかし、この森林都市は、

 王国が建国されるはるか以前に、

 忽然とその姿を消した。


 《ダントン》滅亡の理由は、

 今なおはっきりとはわかっていない。

 

 森の民と呼ばれた《ダントン》の民たちの行方も同様である。

 



───シルドビス大陸中央部・フィレリア王国とギャラス帝国・国境付近───


 王国領・中部前線基地≪レイクロッサ≫・午後17時42分。


 あかね色に染まった空を、

 4機の王国軍ライデンシャフトが、

 帝国領へ向け飛行する。



「───現在、我が隊は目標地点へ向け、

 早期警戒空域を順調に航行中。

 本部管制応答願う───」


「───こちら本部管制。

 感度良好。

 現在グレアム隊を正常に追跡中。

 ”任務(オペレーション)”遂行続行されたし。

 どうぞ───」


「我が隊はこれより帝国領土空域に侵入。

 ”任務《オペレーション》”を開始する。」



 数多く並ぶ計器類を、

 男は慣れた手つきで淡々とさばく。

 

 男の名は、グレン・グレアム。

 フィレリア王国・第4王国軍・第17魔導機兵小隊

 通称”グレアム隊”の隊長である。


 男は、敵帝国軍からこう呼ばれる

 ”レイクロッサの番人”と。



 彼ら”グレアム隊”に与えられた任務は、

 ”威圧偵察”────── 


 任務内容は、敵領域内への侵入、及び敵部隊との接触、

 最も重要とされたのが、直接戦闘によるデータ収集である。



「隊長、今日も早いとこ片付けちゃいましょ。」


「………。ルカ、マイス、周囲に変わった様子はないか。」


「異常ありません。」「異常なし」


「よし、このまま進軍する。」


「ちょっと、隊長ー隊長ー!、

 シャマ機周辺も異常ありません!」



 グレアム隊・隊長グレン・グレアム少佐。


 隊員、ルカ・ミトイ曹長、

 マイス・ハオ伍長

 シャマ・ゴードン上等兵。


 以上4名編成である。


挿絵(By みてみん)


「隊長。予定時刻より早く帰れたら、

 エール(麦酒)おごってくださいよ。」


 シャマ上等兵は任務中に関わらず、

 軽口をたたく。


「おまえがこれ以上、

 無駄口を叩かなかったら、

 ………おごってやる。」 


 そんなシャマに対し、

 グレアムはそっけなく答えた。


 二人のやり取りに、

 ルカ曹長が割って入る。


「私は、”できない”に一杯かけます。」


「おれも、できないに一杯。」


 マイスも加わった。


「おいおい、そんなにオレって信用ねーか。」


 勢いよくシャマが不満を口にする。


「……ないな。

 おまえがずーっと黙ってるなんて、

 想像つかない。」


「そうそう、想像出来ない。」

 

 二人にからかわれたシャマは、


「オ、オレだってなー、

 やる時はやるんだからな!!」


 精一杯強がった。


 そんな三人の会話を聞いて、


「お前ら…いい加減にしろ。」


 グレアムは呆れながら会話を止めた。


 そして、すぐさま握った操縦桿を強く押し込み、

 機体速度をあげる。


 残りの隊員たちもグレアムに続き速度をあげた。


 速度計は時速400キロ超を示していた。



 速度を増した4機のライデンシャフトは、

 レイクロッサ上空高度800mを高速で進む。



 17時43分、レイクロッサ上空高度880m。快晴 


 メインバーニアから噴射される火柱の勢いが増すと、

 機体はさらに加速する。


 4機の機影が、幾つもの積雲を切り割く。


 空を駆ける4機の白いライデンシャフト、

 量産機MLV-207・ブルージュ・ZWEIツヴァイ”、

 王国軍が誇る”第3世代型ライデンシャフトである。

 


───量産機MLV-207・ブルージュ・ZWEI(ツヴァイ)”───

挿絵(By みてみん)

 現王国軍主力ライデンシャフト。

 全長17,1m、総重量23、5t、巨大人型汎用兵器。

 ウィザードシステム(魔導演算機統制機構)搭載、

 リンクバイマジックによる機体制御。


 左腕にブルージュ・ZWEI(ツヴァイ)用大型シールド、

 右腕にMRK-16魔導砲を装備。白兵戦用兵器として、

 腰部マウントラッチにハイヒート・グラディウスを携行。


 動力源は魔導融合炉(ルーン・リアクター)。


─────────────────────────────────────


 魔導融合炉ルーン・リアクターは稼働中燐光を放つ。

 その燐光は内部フレームを透過し、

 胸部装甲の隙間からあふれ、ライデンシャフトを神秘的に包んだ。


 量産機ブルージュ・ZWEI(ツヴァイ)の基本機体カラーは、

 ペールホワイト及びライトパープル。


 左ショルダーアーマーに、王国軍の記章である不死鳥の紋章。


 右ショルダーアーマーに、部隊章である五角盾の紋章が描かれている。


 この第3世代型ライデンシャフト・量産機WRV-207・ブルージュ・ZWEI(ツヴァイ)こそが、グレアムの愛機だった。


 戦闘を目前に控えながらも、

 シャマ上等兵は相変わらず雑談を続けた。


「そういや隊長、

 隊長は何で専用機を申請しないんっすか?

 チューンナップし放題じゃないですか。

 隊長のは、機体だけじゃなくって、

 カラーリングもおれたちと一緒だし。

 頭部に角つけたって、

 ただの量産機に変わりはないですよ。

 つまんなくないんすか?」


「……そうか、

 お前には、つまらなく映るか…。」


「いや、つまんないってのは、

 言葉のあやと言いますか…、

 その深い意味は…。」

 

「…お前がなんと言おうが、

 オレはこいつが気に入っててな、

 こいつで十分だ。」


「じゃ、じゃあ、

 おれが隊長の代わりに専用機を!」


「ダメだ。」


 この会話にマイスが加わる。


「ダメに決まってるだろ、

 シャマに専用機じゃ、

 基地の予算がいくらあっても足りないぜ。」

 

 ルカも続く、


「お前は機体を大切にしろよ、

 毎回どっか壊しちゃうんだから。

 半年前の任務だってそうだ、

 もちろん忘れてないよな。」


 さらにマイス、


「あのときは、

 オレたちも整備班に、

 ひどく絞られたんだからな。」


「あ、あれは……、

 …確かに……。」


 シャマは二人に責められ、

 ぐうの音も出なかった。


 

「……やれやれだ。」


 グレアムは小さな溜息をついた。


 いつもこのような調子の

 グレアム率いる第17魔導機兵小隊であったが、

 今なお続く第3次聖神機大戦で、

 彼らは優れた戦果を挙げ続けた。


──────────────────────────────


 グレアムの機体についての捕捉。


 王国軍・魔導機兵小隊の指揮官クラスには、

 戦功により専用の機体が支給された。


 グレアムは条件をクリアしていた。


 しかし、彼は現在も量産機に乗る。


 ただ一つ、グレアムの量産機が他の隊員機と違う点は、

 指揮官機の目印として、

 頭部に角状パーツを取り付けている点のみだ。

 

 乱戦時に隊長機が認識できるようにと、

 グレアムの強い要望があってのことである。


 なぜ彼が量産機に乗り続けるのか、

 それを知る者はもうほとんどレイクロッサに残っていなかった。



 







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― 新着の感想 ―
面白くてここまで一気に読んでしまいました! 設定が細かくて凄いです!!続きを読むのが楽しみです!
[一言] 途端に真面目な王道もの 落差 面白さは継続だけど途端に寂しい (主人公と相棒のキャラ立ちすごい)
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