表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【機体イラストあり!】機導大戰ライデンシャフト~転生したら最弱少年で絶望したけど巨大ロボットのパイロットとしては最強みたいです~  作者: nicobear
異世界で巨大ロボットに乗ることになりました(パイロットとしての目覚め)編
12/122

その名は魔導機兵(ライデンシャフト)3

(ここで異世界転生モノの説明しても、

 すぐにはわかってもらえないか…。)


 オレはため息をつきながら、

 ゴロンと床に横になった。


<タツヤの言ってる異世界転生の話は、

 正直よくわかんないけど、

 だからってさ、なんでいきなり寝っ転がるの。>


「なんか、色々考えてたら、

 疲れちゃった、とりあえずゴロゴロさせてもらいます。」  


<え──────!!>


 オレはリゼルの不満を聞かなかったことにして、

 そのまま床に寝っ転がる。


 ぼんやりとオレの頭に浮かんだのは、

 この世界での”自分”についてだった。


(オレ、あの巨大ロボットに乗るのかな…。)


<タツヤもパイロットになりたいの!?>


 すぐさまリゼルが嬉しそうに返事をする。


(いや…、そういう訳じゃなくて、

 オレなりに今後の展開を予想してるわけで…。)


<展開を予想…。>


(あ、あんまり気にしないで。)


<ふーん…変なの…。>


(整備係って可能性も…。)


<僕はパイロットがいいな!>


 リゼルはどうしてもオレに絡んでくる。


(き、気持ちはわかるけど、

 パイロットってさ簡単になれるの?)


<なれないよ。>


(そ、そうだよな、

 パイロットって色々大変そうだもん。

 オレも異世界で巨大ロボットに乗るよりは、

 もっと簡単な職業で楽したいなー。)


<…またその話。>


(あーあ、巨大ロボットの操縦スキルとかゲット出来てたら、

 パイロットもありなんだけど。

 今のオレには、異世界の文字を読むスキルしかないからなぁ。)


<…操縦スキルなら持ってるよ。>


 オレははっきりと、

 リゼルの自信に満ちたつぶやきを聞いた。


「操縦出来るの!?」


 オレは驚いて上体を起こした。


<たぶんだけど…。>


「…たぶん?」


<あの装置!

 あの装置でいっぱい練習したから、

 僕は絶対操縦出来るんはずなんだ!!>


(…す…すごい自信。

 だけどあのオンボロで練習したからって、

 ホントに本物を動かせるのか…。)


 オレの頭を本音がよぎる。


<オンボロだからってバカにしないでよ!!

 すごい練習したんだから!!

 絶対に操縦できる!!>


 オレの心の声にリゼルが激しく反論する。


「ま、まぁ…落ち着いて、

 あの装置が動いてたとしても、

 再現度の問題もあるし

 絶対操縦出来るとは…。」


 オレはリゼル少年の発言を、

 ただの強がりとしか思えなかった。



 その時だった。


「……ゼル」


 下の部屋から低い声が聞こえた。



<じいちゃんだ!>


 リゼルがオレに教えてくれる。


(ど、どうしよう?)


<下に降りよう。>


 オレはリゼルに促されて、

 恐る恐る天井から顔を出す。


 そこには、よく日に焼けた肌に、

 真っ白なあごひげを蓄えている、

 イメージ通りの老爺が立っていた。


 挿絵(By みてみん)


(すっげー、昔話に出てくるような

 じいちゃんオブ・ザ・じいちゃんだ。)


 そのじいちゃんは、

 こちらをじーっとと見つめている。

 

 ちょっとの間があって、


「……リゼル!

 …リゼル!!!」


 じいちゃんは声を絞り出した。


 その瞳からは光るモノが流れ落ちた。


<じいちゃん!!>


 リゼルの声がオレの頭にもう一度響く。


 しかしじいちゃんは何の反応も示さない。


(そうか……、

 声を出すのは、オレにしかできないんだった。)


<タツヤ、じいちゃんに返事してよ!>


(えーと、この老人は、リゼルのじいちゃん、

 ってことは、今、オレがリゼルだから、

 オレのじいちゃんってことになるのか…。)


 オレは少し考える。


(だけどなぁ、見知らぬ老人に対して、

 いきなり”じいちゃん”って、

 けっこうハードル高いな。

 オレにとっては初対面のじいさんなんだもんな…)


 オレがグチグチ考えていると、


 <もぉタツヤ、そんなに呼ぶのが嫌だったら、

 それはいいから、早く降りてよ!!>


 リゼルにせがまれて、

 オレは慌てて縄ばしごを降りる。


 しかし、慌てたオレは、

 縄ばしごから足を踏み外して、

 見事に落ちた。


 「あ””────────────────」<わ────────────────>


 そこでオレはあらためて思い知らされる、

 何事も慌てちゃいけないと。 


 床に叩きつけられると思った瞬間、

 オレの身体は、力強い温もりに抱きしめられた。


 そこは、じいちゃんの腕の中だった。


 そして、じいちゃんはオレを力強く抱きしめた。


「まったく、ようやく目覚めたと思ったら、

 いきなりこんな無茶を。」

 

 そういうじいちゃんの目は涙であふれている。


「とにかく、よかった…よかった…。」

 

(はぁ…、助かった。)


<ちょっと、助かったじゃないよ!!

 何足踏み外してんのさ!!>


(ごめんごめん。)


 オレたちは頭の中で会話をする。


「…よしよし、今日はこれから、

 リゼルの回復祝いじゃ!!」


 じいちゃんは朗らかに叫んだ。 












読んでいただき本当にありがとうございます。


もし『面白そうor面白かった』『続きを読んでみたい』

など思われた方は、ぜひブックマークや下の評価(☆が並んでいる所)をお願い致します。


皆さまのその貴重なひと手間が、作者の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
物語が淡々とわかりやすく進むので理解しやすくおもしろかったです。 挿し絵もありすごいなと思いました。(私には到底描けないので)
異世界転生モノとはいえ、設定マシマシでゴリゴリなSFかしら……と若干警戒して読み始めたのですが、いい意味で期待を裏切られました。 設定はしっかり押さえていながら、軽妙で読みやすい文体です。序盤からタツ…
[一言] じいちゃんオブ・ザ・じいちゃん という一言でキャラが脳内でびしっと固まりました!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ