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第3話『異世界の情報②』

 前回はこの世界の『神々』や『人種』について触れたが今回は転生先の家族である『デュフォール家』『この世界の生き方』について話したいと思う。


 まずは『デュフォール家』について。


 「デュフォール家」は現在スタンベルク西側にあるリネレー村に屋敷を建てて暮らしている。


 転生した俺「アラン・デュフォール」は、貴族の家系であり元冒険者である父親「フィリップ・デュフォール」と王国魔術師団(おうこくまじゅつし)&冒険者(ぼうけんしゃ)であった母親「マリーナ・デュフォール」から産まれた三男である。


 両親は元々『平民』であったが、若い頃に冒険者として魔物の『スタンピード』から何度も民を守った功績から、父親は『スタンベルク男爵』、母親は『スタンベルク女爵』を「エブゾフェア大公」より叙爵(じょしゃく)され、スタンベルク南方の森から発生するスタンピードの防衛指揮官に任命された。

 その後2人はスタンベルクで結婚をし、その時にエブゾフェア大公から「結婚するなら領地を与える。」と言われ、スタンベルク西にある平原を『領地』としてもらい『リネレー村』を作った。

 その後父母はリネレー村領主&スタンピード防衛指揮官としてスタンベルク領を統治した実績を経て『伯爵(はくしゃく)』に加階する。

 現在は母「マリーナ」が「リネレー村」とその北の小さな島「ナノセ島」を統治し、父「フィリップ」はスタンベルク及び南方の「迷いの森」全域を管理している。

 この父母の功績を聞いた俺は差別しまくる怠惰(たいだ)傲慢(ごうまん)な貴族が多い世の中だが、素直に「凄い」と思った。

 ――――「でも【運999】持ってるのに王族ではなく伯爵家止まりなんだよなぁ~。 クソッタレな貴族じゃないだけマシか…。」 と心の中で呟いた。


 次に俺の2人兄の事についてだ。


 長男の「ジャック・デュフォール」(6歳)は基本的には大人しく大らかなかつ丁寧な言葉使いで、弟たちに優しい性格である。

 それに比べて次男である「エドガー・デュフォール」(4歳)は自由奔放(ほんぽう)なお調子者で、何も考えずに思った事をすぐ行動する為、屋敷のメイドや執事が手を焼いている。

 兄2人は父親から英才教育を受けており、長男のジャックは『次期当主』として「語学や数学」を叩きこまれつつ父と母に「剣術や魔法」を習っており、何でもそつなくこなせる万能タイプ。

 次男のエドガーは長男と同じく父から剣術の稽古を受けており、長男よりも戦闘センスが有るが魔法はからっきしなので将来は『帝国騎士(ていこくきし)』になる事を目標としている。


 中庭で稽古を受けているそんな兄2人を、1歳児の赤ん坊である俺は2階にある廊下の窓からよく観察をしていた。

 ―何故観察してるかって? そんなの少しでもこの世界の知識を得る為だよ?

 俺は1歳になりまだ立って歩くことは出来ないが「ハイハイ」で部屋のベッドから抜け出し好きな場所に移動する事が出来る。

 ―まあ母親のマリーナにバレるまでだけどね…。

 俺の日課は先程の通り『観察(かんさつ)』である。

 兄たちが稽古を受けてる姿の観察や、親が居ない時を見計らって父の書斎に勝手に侵入しスタンベルクの政治や歴史を読み漁っってこの世界の情報や政治的情勢を得ていた。

 その日課だが大抵どこかのタイミングでマリーナにバレて部屋のベッドに戻され終了してしまう。

 その度に母に「らいじょーう まほーおせーておせーて」とか「いろいろおせーて れきしおせーて」とか片言だけど必死にお願いするが拒否されてしまう。 ―まぁ赤ちゃんだから仕方ないよね…。

 1歳児が会話が成立してしまう「片言」を聞いたマリーナは「この歳でこんなに賢いなんてすごいわ!きっと優秀な魔法使いになれるわ!」 なんて言っているが ―スマンそれは俺の前世の知識のせいだ…。 と軽く心の中で謝った。


 次に『この世界の生き方方』についてだ。


 この世界の人々は7歳時に【祝福の儀(しゅくふくのぎ)】で女神様から貰える【固有(こゆう)スキル】によって大抵の人生が決まってしまう。

 その内容いわば職業鑑定(しょくぎょうかんてい)の儀みたいなモノであり遺伝率が高い為「親の家業(かぎょう)」を継ぐ事が多い。(遺伝確率80% 20%で別のランダムな固有スキル。)

 【祝福の儀】は国民の「義務」で各国に必ず存在する『教会』にて行われる。


 2つ例を挙げてみる。


 1人目が【祝福の儀】で固有スキル【建築士(けんちくし)】を貰うとする。貰ったスキルは成長しやすくその人の適正でもある為、建築の仕事に携わったり修業する事で建築スキルレベルが上がり、作業効率が良くなり給金も上がりやすくなる。


 2人目が【祝福の儀】で固有スキル【農業(のうみん)】を貰うとする。それが本人にとって「望まないスキル」であり、別の道を選ぶ者も居るが別の職種を選んだ場合固有スキルを所持していない為能力が低く、希望の仕事を熟練するまでにかなりの苦労を余儀なくされる。

 なので基本嫌でも家業を継ぐことが多い。


 中には【祝福の儀】にて超低確率(1%)で固有スキルすらもらえない人も存在するというがその家系は80%の確率で【固有スキル無し】が遺伝されてしまう為、その家系は滅ぶ事が多いと言われている…。


 実は固有スキルには女神から貰う際のスキルと別で、出生時に元から固有スキルを持っている場合が稀にあり(1%)、そのスキルの事を『出生固有(しゅっせいこゆう)スキル』と呼ばれ、所持者には出世コースがほぼ確定されるらしい。

しかしその事だけは上位貴族しか知らず原理も解明できていない。 この事は父の書斎にて知り得た知識だ。

 また出生固有スキルは【祝福の儀】で貰えるスキルと被る事は無い為1%を引かなければ確実に固有スキル2個は所持できることになる。


 それとこの世界の人間は【祝福の儀】で貰えた固有スキルの種類が良い人や、勇者家系の【EX(エクストラ)スキル】所持してる者。仮に固有スキルを所持していなくても『神聖(しんせい)属性』を持っている者は『帝国学園(ていこくがくえん)』の入試試験を受けられる権利が与えられる。


 その入試試験を見事合格し入学出来た場合は「剣術」及び「魔術」を専門的に教わる事ができ、卒業後に飛び級した『冒険者』になる事が出来る。 通常の新人冒険者はGランクから始まるのだが、学園卒業者はEランクから冒険者を始める事が出来るのである。


 また学園のクラス分けは入学試験の結果で振り分けられ、最低ランクF~最高ランクSまでのクラス分けがされる。

 学園は「8歳」から「13歳」までの5年制で【A~Sクラス全員とC~Bクラス中の優秀者と『神聖属性』所持者】のみ卒業と共に成人するまでの2年間(15歳)まで【帝国騎士団上級学校】か【帝国魔術師団付属魔術研究学校】のどちらか自身適正に合った学校に入学する事ができる。

 上記どちらかの過程を修了した者は、そのまま【帝国騎士団(ていこくきしだん)】及び【宮廷魔術士団きゅうていまじゅつしだん】に入団(任意)する事ができ、平民が貴族『騎士爵(きししゃく)魔法爵(まほうしゃく)』になれる可能性の高い出世コースである。 任意なので出世コースを選ばず『冒険者』になる者もいる。

 その場合Cランク冒険者から始めることが出来る。


 『神聖属性』所持者の中で成績優秀者だった者は【宮廷魔術士団】に入団し、その他の『神聖属性』所持者は各国にある教会に配属される。


 今まで話した『帝国学園』入学のメリットから【祝福の儀】で良いスキル所持者はワンチャンを狙って帝国学校に入学させたがる親が多いのである。

 因みに【祝福の儀】で神聖属性持ちが判明した場合、自身の実力や【固有スキル】の有無、ステータスの数値に関わらず強制的に入学させられる。その際の入学試験は一応受けて貰うがどのような結果でも確実に合格し入学金は奨学金制度(借金)を利用して入学する事になる。


 入学金についてだが以下の通り


・貴族の入学試験費用(大金貨1枚[10万円])

・貴族の入学金(白金貨7枚[700万円])

・平民の入学試験費用(金貨5枚[5万円])

・平民の入学金(白金貨2枚[200万円])


 上記の通り貴族や平民でも入学金を払うのが大変な額であるが入学試験の最優秀者には入学金の免除がされる。

 貴族は【伯爵】以上であれば入学金(白金貨7枚[700万])を支払えば入学試験パスして入学する事が可能である。(いわゆる顔パス)なので同じ貴族でも【子爵】以下は入学試験をパスする事が出来ない為、貴族でも「格差社会」が存在する。

 では【伯爵】以上の上級貴族はみな顔パスするかと思うがそれも違う。

 学試験をパスできる貴族は入学試験をパスせず、ちゃんと受験する。 理由は先ほどの「学試験の最優秀者には入学金の免除がされる」からである。

 有力貴族の子が【入学試験の最優秀者】に選ばれれば貴族の泊も付くし、白金貨7枚を支払わずに入学する事も出来る。

 また【入学試験の最優秀者】に選ばれなかった場合でも通常通り入学金を支払えば入れるので何の問題も無い事から顔パスする理由が無いのである。


 上記を理由に【伯爵家】以上の子には、協会に居る多忙な【神聖属性魔法使い】に莫大な金を積んでをどうにか鑑定してもらうか【真眼の水晶(しんがんのすいしょう)】で鑑定し、幼少の頃から厳しく育てられ、【入学試験の最優秀者】を目指す。

 ――【神聖属性魔法使い】はどんなに金を積まれても断る事が多いらしいが…。


 なので【入学試験の最優秀者】は毎回【上級貴族】になり、この事を知らない平民の入学は本当に【運】が必要で、【入学試験の最優秀者】になる事は絶対に無い。

 また顔パスできる上流階級貴族はどんなに成績が悪くてもBクラス以上に入れる。

 上記が上級貴族の絶対的な『強み』である。


 入学後の「クラス分け」だが、Sクラスは厳しく選定され毎年10人居れば良い方で、酷い年は【入学試験の最優秀者】でもSクラスは入れずSクラス無しの年もあるという。 なのでSクラスに入れた者は「上級冒険者」や「勇者」である事が多くここ数年はSクラスに入れた者は居ないらしい。


 先程の話に出た、『【神聖属性魔法使い】に金積んで鑑定してもらうか【真眼の水晶】で鑑定』の件だが、神聖属性魔法使いは『心理眼(しんりがん)』を使用でき、そのスキルによって対象者のステータスを見る事が出来る。

 その為各国の教会に【神聖属性魔法使い】が派遣され各国で毎年行われる【祝福の儀】にて女神様からどんなスキルを貰ったかを『心理眼』でステータスを覗き、学園受験資格所持者の判定をするのである。 またそれ以外の時は神聖属性の治療魔法を使用して冒険者を治療したり、有事の際は教会に存在する『水面鏡』を使用して各国と連絡を取る。

 神聖属性持ちは給金が良く貴族の爵位『神聖伯(しんせいはく)』ももらえるが、協会に配属された時点で何処にも行けない不自由な身である。

 

 【真眼の水晶】は神聖属性が付与された水晶で『心理眼』の効果を一度だけ使用できる貴重な消費アイテムである。

 多忙な神聖属性所持者を雇わなくてもステータス確認が出来るのが利点だが一度使用すると魔力が喪失し再度使用するには神聖属性を水晶に付与する必要がある。

 水晶自体が希少で高価なアイテムであり更に神聖属性が付与された【真眼の水晶】は貴族でしか扱えない程の高価な物である。


 最後に学園に入学出来なかった人の話であるがその場合は家業を継ぐか、成人後Gランク冒険者になる。

 冒険者になっても「学園」で剣術や魔術を学んでいない為、上位ランクの冒険者になる事は出来ず中級者冒険者になれれば良い方であるらしい。


 今回の話をまとめると以下になる。


・受験資格すら持たない者は「他の国の学校に入学」するか家業を継ぐか成人後Gランク冒険者に。        

・受験資格があってもお金が無く入学できなかった者や不合格で学園に入学出来なかった者は家業を継ぐか成人後Gランク冒険者に。

・入学できた者はEランク冒険者か家業に継ぐ。一般人より剣術、魔法が使用できる為冒険者にならなくても有る程度の『防衛力』が有るため各職種で重宝される。

・A~SクラスとC~Bクラス中の優秀者に入れれば【帝国騎士団上級学校】か【帝国魔術師団付属魔術研究学校】の出世コースか、Cランク冒険者へ。


 上記の4種の人生となりそれ以下が『奴隷』や『盗賊』である。


 因みに『帝国学園』以外にも他国に『学校』は存在するが【祝福の儀】であぶれた者以外は「他国の学校」には通わない。

 理由は【祝福の儀】で選ばれた者が「他国の学校」に通うのは帝国学園に比べてメリットが少なく、入試時期も同じな為1つの学校しか入学試験を受けることが出来ないのでメリットが多い帝国学園を受験する。 要するに前世の受験で言う『私立等の滑り止め』は通用しないのだ。


 前回の話にも出たが、『貧民』は固有スキルの遺伝のせいでほぼほぼ学園受験出来ず貧困のままの人生になる事が多い。

 その貧民の生活に限界を迎えると『盗賊』か『奴隷』になってしまう。

 前者は ――奴隷になる位なら~ という後先を考えない思考の者がなりやすく、後者はどうなってでも生きたいと思う者がなる。


 一部の狂人は能力が有り学園に入れたのにも関わらず、力を付けた後あえて盗賊になる「異常者」も稀に存在するらしい…。


 一旦話を戻すが、長男「ジャック」と次男「エドガー」は既に【真眼の水晶】を使用しステータス確認済みで、来たる祝福の儀と学園受験の為に日々精進している。 父「フィリップ」は特殊な固有スキルである【千虻魔剣士(せんぼうまけんし)】で自身が所持している全ての属性魔法を剣に込める事が出来るらしい。 母「マリーナ」は【満月の魔女(まんげつのまじょ)】という固有スキルで「月が出ている時限定」であるが『賢者(けんじゃ)』を凌ぐ魔力を使用する事ができ、月の満ち欠けによって特殊な追加効果を得られるらしい。

剣聖(けんせい)』とか一般的に名の知れたスキルではないが2人共かなり良い固有スキルなのでは…?

 どちらかの固有スキルを遺伝するか同じ系統の固有スキルを与えられるであろう事から兄二人にも良い固有スキルの可能性が高く、きっと帝国学園に入学出来るであろう。 ――そして俺にも強いスキルをくれっ(笑)


 因みに現在デュフォール家の【真眼の水晶】の在庫は無しの為、俺のステータスはまだ未鑑定であり何時水晶を購入するのかもまだ分らず「未定」のようだ‥。  ――まあゆっくり待つさ…。


 俺はマリーナにバレるまで兄たちの稽古を見ながら「早く成長して鍛錬したい」と思った。

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