9
その後は疲れ果てて眠りました。
夢を見て目が覚めて、ああ、でもまた眠っていいんだって思って、そのまままた眠りました。
夢を、たくさん見ました。
あの宴会の夢でした。
みんな笑ってました。
オークも人も、笑ってました。
眩しいお日様の光に、ようやく目が覚めました。
あれから昼と夜と、丸一日眠っていたようでした。
その間、人間たちはこの先どうするか話し合っていたようでした。
おいかけてくるオークはもういません。
元いた故郷に帰りたい人。
どこか新天地を探す人。
みんなそれぞれ新しい目標がありました。
そうして、人間たちはみんな、それぞれの目標に向かって別々の道を行くことになりました。
聖女様は、またあの大鍋を抱えて、お腹をすかせたオークたちのところに行くとおっしゃいました。
あの大鍋、実は聖女様がリュックに入れて持ってきたんだそうです。
そのほかにも、木のお椀もおさじも、みんな聖女様のリュックに詰め込んできたものでした。
それを聞いたグランさんは、血相を変えて、自分もついて行く、とおっしゃいました。
聖女様がまたとんでも料理で食材を無駄にするのは、グランさんにはどうしても許せないんだそうです。
シルワさんは、貴重なお薬が手に入ったのも聖女様のおかげだと言って、この先ずっと、聖女様にお仕えすると決めたそうです。
なら、おいらだけ別々になるなんて、それはやっぱり、なしっすよね?
というわけで、おいらたちはパーティとして一緒に旅をすることになりました。
その後、おいらたちは、あちこちでオークの集団を全滅させた凄腕の勇者たち、なんて噂を立てられることになります。
もっとも、実際においらたちのしたことは、美味しいご飯を作って、楽しく宴会しただけなんっすけどね。
これがおいらたちの最初の冒険の顛末です。
って、ちょっと待って、タイトルは聖女と4人の騎士たち、ってなってんのに、あとひとり足りないじゃないの、って?
そこに気づかれた方、あなたはすごいっす。
実はね、うちのパーティには、もうひとり、メンバーがいるんっすよ。
けどもう、話しも長くなってきましたし、今回はこの辺りで。
次、お話しする機会があったら、あともうひとりのメンバーのことをお話ししますよ。
貴重なお時間を割いてお読みいただき、本当に有難うございました。
どうぞ、あなたにも、よいことがありますように。