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さきがけ争い

「いや、蒲生殿。俺の軍が先に攻撃しちゃだめかな?」


名実ともに天下人になりたい俺はそう提案した。元いた世界の歴史上の信孝だって山崎合戦で敵討ちに成功したのに、一緒に戦った秀吉が天下人になったからな。蒲生が秀吉みたいなポジションになる可能性は否めない。今のうちに牽制しとかないと。俺の軍が主体となって勝たなきゃだめなんだよ。


「いいえ、信雄様。それがしの兵に先に行かせてください。信長様への御恩、蒲生家は報いたいのです!」

「え、いや、でもさ、信長の息子の俺が敵討ちするべきっていうかさ」

「大恩ある信長様の息子である信雄様を危険な目に遭わせたくありません! やはり我ら蒲生が先陣を!」


う、蒲生殿、けっこう我が強いていうか、譲らないな……。会議が長引きそうな雰囲気だぞ。早く決めないと。明智勢が安土城に入って陣取ってしまったら、安土城を奪取するのは難しい……そういえば、元いた世界の安土城は燃えちゃったんだよな。たしか、燃やしちゃったのは……信雄オレ


『彼は愚かだったので、燃やした』


──なんとなく覚えているこの一文。宣教師の手紙だか日記だかに安土放火の犯人は信雄だと書かれているらしいんだよな。しかも「愚か」だから燃やしたと。これは前世で某まとめサイトだか某スレだったかで見た話だ。前世の俺はネットで見て織田信雄を見下してバカにしてたんだっけ。


 信雄に転生した俺も安土城を燃やしてしまうんだろうか? 信長の安土城を灰にした愚か者として後世に名を残すのか?

 ……それは嫌だな…。なんとか燃やさない方向で行きたいものだ。じゃあ、やっぱり蒲生に先陣を任せて安土城を取り返してもらった方がいいんだろうか──。


 会議が進まない。時間が無駄に過ぎていく。明智がいつ安土に入ってもおかしくないって言うのに。

 お互い苛立ちを感じ始めたところへ、俺の家臣の小川新九郎が陣幕の内に入ってきてこう言った。


「御本所様! 今すぐこの小川新九郎を先に安土に行かせてください!」


「新九郎、お前の兵の数は?」


「三百です。わずかな数ではありますが、御本所様の御恩に報いるためならば怖いとは思いません。我らが先に行って城下を焼き百々橋より内側を守ります」


うーん、少ない。そんな数で大丈夫なのか。でも、いいアイディアな気がする。

少ない兵数であっても新九郎を先に行かせて安土城で待機させた方がいい。よし、一刻も早く行かせよう。明智勢はすぐそこまで迫っているのだから!


「蒲生殿! とりあえず俺の家臣新九郎を先に行かせようと思うがいかが?」


「……ええ。わかりました」


「で、その後、明智が安土に到着したら俺か蒲生殿どちらかが撃って出るということで」


厄介な案件を後回しにした感じだが……。俺と蒲生殿、どちらが先に明智を攻撃するべきか……。


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