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人質

信雄妻が情緒不安定なのは妊娠していたからなんだろう。かわいい顔してるのにな。仕込んだ記憶はないが、この泣いている女の腹には俺の子が宿っていると思うとだんだん情がわいてきた。俺が転生する前の信雄の意識が身体に染み込んでいるからかもしれない。


「奥さん、俺、頑張って天下とってくるから」


泣いている信雄妻をなだめると、俺と家臣ズとその配下の兵たちは蒲生のいる日野城へと出発した。

おそらく明智勢は信長の居城であった安土城に入ろうとするはずだ。それを俺と蒲生は攻撃する。

明智勢が安土に到着する前に一秒でも早く日野城に着きたいものだ。



順調に進み、鈴鹿の坂下でひとまず休憩をとった。

この調子で進めば弔い合戦に間に合うはずだ。

が、ふと不安な気持ちがよぎる。


「蒲生を信じていいのか……?」


俺は歴史が好きな大学生だった。と言っても大学で史学を専攻しているわけではなく、Wikipediaその他歴史系サイトや某スレを見て回っている程度の趣味人。

 本能寺の変の時の蒲生の動きを実は詳しく知らない。数週間前に蒲生氏郷のWikipediaを見たような気がするんだが、なんて書いてあったっけ? 


「御本所様、たった今、蒲生様のご息女の一行が我が陣を訪ねてきました」


家臣の小川新九郎が俺に伝える。

このタイミングで蒲生の者がやって来るとは、しかも、息女?

蒲生の娘がなぜ?


「蒲生様が人質にご息女を差し出したようです」

「人質?」

「ええ、織田に対する忠誠の証とし、御本所様に出馬を願うということでしょう」


なるほど、これなら安心。蒲生を信じよう! 蒲生と一緒に天下とりだな!


「ご息女をお通しします」


家臣に連れられて現れた人質、蒲生の娘は……


「うわあああん! 帰りたい〜!」


俺の顔を見て泣き出す幼女だった。


「二歳だそうです」


泣き声がうるさく響きわたる中、新九郎が年齢を教えてくれた。二歳とは幼すぎる人質だ。勘弁してくれ、子どもは嫌いじゃないがこんなにうるさくされちゃ、かなわん。






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