5,ガイア
まだ、御しきれるかどうか分からないけど。僕はこの一手に全てを賭ける!
「ガイアよ、星の意志よ!僕の身体を依り代に今此処に降臨せよ!」
「―――っ!?」
一瞬でブラスは身構える。それほどの強大な意志の力が、僕へと流れ込んでくる。
以前、クロノさんが言っていた。星とは一個の生命体であると。星だって生きているのなら、その星の意志とコンタクトを取る手段が存在する筈だ。
僕がやったのは、この宇宙に存在する数多の星々に生命力を流し込む容量で意識を接続し、星の意志とコンタクトを図ることだ。それはつまり、この宇宙に存在する数多の星々という生命体の膨大な意識を僕個人の身体で受け止めるに等しい。
無論、それは間違いなく無謀に等しい行為だろう。
だけど、それをやるだけの覚悟は僕にはある。この戦い、必ず勝ってみせる。そして、その果てに必ずブラスと分かり合ってみせる。
その意思を込めて、僕は星々の意志と対話を試みる。
『私に何か用か?小僧』
話しかけてきたのは、女性の声だった。恐らく、コンタクトを取った星の意志は女性型なのだろうと思う。けど、関係ない。僕は今から星の意志との対話を始めるんだ。
臆している暇など片時もありはしないだろう。
「僕にほんの少しでも良い。力を貸して欲しい」
『ほう?貴様如き人の子が私の力を使うと?』
瞬間、星の意志から膨大な怒りが流れ込んできた。
その怒りの波動に、僕はそれでも臆さずに向き合う。
「違う、僕が言ったのは力を貸して欲しいだ。別に貴女の力を使ってどうこうするつもりはない』
『ふむ……』
そして、少し考えるそぶりを見せた星の意志だが。やがて僕に星の殺意とすら形容出来る強烈な力の波動を放ってきた。
その意志の力に、僕は思わず気圧されそうになる。
だが、それでも僕は真っ直ぐ星の意志と向き合う。己の意思は絶対に曲げない。自身の意思をしっかりと籠めて、真っ直ぐと星の意志を。ガイアを見据える。
「頼む、その力を僕に貸してくれ」
『……ほう?私の力にここまで耐えることが出来るか』
「頼む」
素直にガイアに向け、頭を下げる。しばらくガイアは考え込むそぶりを見せたが、やがてうっすらと笑みを浮かべたような気がした。
そして、僕の頬にガイアの意志が触れたような気がした。その瞬間。
膨大な意志の力が僕の中に流れ込んできて、その意志の奔流に僕の意識がかき消されそうに、
『しっかり意識を保て!その程度の覚悟で私の力を借りようとしたのか?』
「ぐっ、く…………」
『それ、この程度の力など耐えてみせよ。さすれば、貴様の望む力が手に入るぞ』
その言葉に、僕は意思の力を爆発的に高めて……
・・・ ・・・ ・・・
「これ、は……」
ブラスの呻くような声が漏れる。どうやら、ブラスにも理解できたようだ。今此処にいる僕は先ほどまでの僕とは違うと。
爆発的なまでの力の高まりを感じる。いや、それだけではない。今までの僕とは全く別次元の力を感じることが出来る。これが、ガイアの力なのだろう。
だが、僕はこの力に溺れてはいけない。むしろ、この力を完全に制御する必要がある。
だから、僕はこの力を制御する為に意識の力を高める。
意識の力を高め、そしてブラスに宣言した。
「さあ、始めよう。僕と君との最終決戦を……」




