プロローグ
今更ながらだが、機械仕掛けの神殿という惑星型宇宙航行艦の説明をしよう。
外観から見れば、機械仕掛けの人工惑星に見えるだろうこの宇宙船。だが、その正体とは簡単に説明すれば科学技術により再現された宇宙の根源だ。全てが機械仕掛けのこの人工惑星は、言ってみれば内部の全てが疑似的な異空間となっている。
いや、異空間というよりは異世界と言った方がより正しいのだろう。事実、外観で見たこの人工惑星は云わば地球より少しだけ小さい程度のサイズだ。
だが、その内部構造は外観で見たよりも遥かに広大だ。
より正確に言えば、その内部構造は外観よりも数十倍数百倍は大きくなっている。
この人工惑星を地球と同程度のサイズと仮定すれば、内部の空間は実に太陽と同程度のサイズを誇る計算となるだろう。まあ、あくまで適当に計算してもの話ではあるが。
さて、疑似的な異世界となっているこの人工惑星。機械仕掛けの神殿だが、その本領は異世界化した内部構造ではない。
疑似的に宇宙の根源を再現したこの内部空間、それこそがこの機械仕掛けの神殿の本領だ。
言ってみれば、この人工惑星の内部空間そのものが宇宙の特異点なのだ。そして、それ故にこの空間そのものがすべての宇宙の原型そのものという訳である。
文字通り、宇宙の原型そのものを科学技術により再現した。それこそがこの機械仕掛けの神殿が世界最大規模の概念兵器である所以だろう。
それ故に、時空間としての強度。云わば世界そのものの強度が通常の宇宙の比ではない。
文字通りの意味で、宇宙そのものを断ち切る剣なんてものが存在したとしてもこの異空間を断ち切る事は絶対に不可能だろう。それ程までの強度差があるのである。
……だが、それもあくまで単純計算をしたらの話である。
ゼノやブラス、クロノとユキ、そしてシイルが本気で暴れた時の被害など当然想定している筈も無いだろう。
結果、機械仕掛けの神殿。機械仕掛けの人工惑星は内部からの大きな力の衝突により、大きく軋み全体が揺らいでいた。人工惑星全体が今にも壊れそうなくらいに悲鳴を上げている。
機械仕掛けの神殿には自己修復機能がある。多少暴れた程度では、ましてや多少の損傷程度では決して致命的損傷を受けることは無いだろう。
だが、今回だけは唯一の例外だった。そもそも、このレベルの超越存在が五人も本気で暴れる事など誰が想像出来ようか?
ともかく、ブラスとゼノの起こした戦争遊戯。その最終決戦は疑似的な根源世界すら揺るがす超常の大決戦へと発展していたのだった。




