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”豊穣”を冠する後継の勇者  作者: ネツアッハ=ソフ
知恵~ヨッド~
53/61

エピローグ

「さて、()もる話もあるだろうけど()ずはこっちから先だな」


 そう言って、クロノさんとユキさんはブラスの方を()いた。ブラスは相変わらず、地に膝を着いたまま顔を伏せて沈黙(ちんもく)している。どうやら、今のでかなりの大ダメージを()けたらしい。その回復には少しばかり時間が掛かるようだ。


 そんなブラスに、クロノさんは鷹揚(おうよう)に語りかけた。


「……どうだ?俺たちとしては、もう此処で降参して投降(とうこう)してくれれば嬉しいんだが」


「……そんな、事。私たちが―――」


「俺たちがするとでも?」


 高々と空間に()り響く声。


 瞬間、ブラスと僕たちの間に()って入るように一人の少年が現れた。不吉(ふきつ)な死神の如き気配を纏って現れたその少年を、僕は()っている。


 そう、あの銀河連合の大艦隊(だいかんたい)を一瞬にして(しず)めた張本人。ブラス=スペルビアと共に、すべての宇宙に戦争を仕掛けた本当の意味での黒幕(くろまく)。精神生命のさらに先へと進化を果たした、この世の超越種とでも言うべき存在。


 死神ゼノだ。


「ゼノ……」


「よう、ブラス。なかなかピンチのようだな?どうだ、此処は俺に任せてお前は退()くか?」


「いえ、私もゼノと肩を(なら)べるべくして此処に立っているのです。そんな私が少し追い詰められた程度で退くわけにはいきません。私にも(たたか)わせて下さい……」


 気丈(きじょう)に言い放ち、ブラスは()ち上がる。


 ブラスのその言葉に、ゼノは()みを浮かべる。どうやら、彼らの戦意(せんい)はまだ消えてないらしい。


 なら、僕だって。クロノさんとユキさんの息子として戦う覚悟(かくご)を決めるべきだろう。


 英雄(ヒーロー)の後継者として……僕が僕らしくある為にも……


「クロノさん、ユキさん、ブラス=スペルビアの相手は僕に(まか)せて下さい。二人はどうかゼノの相手をよろしくお願いします」


「……やれるか?」


「はい」


「うん、じゃあシイルも気を付けて。無理(むり)だけは絶対にしないでね?」


 そう言って、クロノさんとユキさんはゼノと向き合った。そんな二人に、ゼノは心底楽しそうな笑みを浮かべて真っ直ぐ視線を向けている。


「何だ?お前たちが俺の(あそ)び相手か?」


「ああ、俺たちがお前の遊び相手だ。相手(あいて)してやるよ」


「今度はあの時みたいにいかないよ?」


「へえ?そりゃ(たの)しみだ」


 ゼノは凄惨(せいさん)な笑みを浮かべ、指をぱちんと(はじ)く。瞬間、ゼノとクロノさん、そしてユキさんはその場から消失した。どうやら、別の場所に転移(てんい)したらしい。


 その場には、僕とブラスの二人が(のこ)される。ブラスはすでに、準備を万端(ばんたん)に整えているよう。僕だって戦意は十分だ。既に、覚悟(かくご)は決めてきている。


 それに、準備もすでに万全(ばんぜん)だ。


「さあ、そろそろ僕たちも戦おうか」


「はい、そうですね。改めて、貴方を()らい、その魂の輝きを私の中で永遠(とわ)に」


「僕は、戦いの中で君と……君たちともっと()かり合いたいよ」


「では……」


「じゃあ……」


 そして、僕とブラスは互いに身構(みがま)えて。そして、一瞬で意識を()り替えた。


()くぞっ‼」

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