エピローグ
モニターが暗転し、部屋が明るくなる。僕は改めてヤスミチさんと向かい合った。
「ありがとうございます、ヤスミチさん。改めて覚悟が決まりました」
「そうか、それは良かった。これからお前はどうするつもりだ?」
「もちろん、俺も戦場に向かうさ。個人的に聞きたい事はあるし、それにクロノさんとユキさんがやられて黙って見ている事なんて出来ないからな」
その言葉に、ヤスミチさんはおろか神野姉弟や神薙ツルギ、そしてマキナまでもが嬉しそうな笑みを浮かべて僕を見ている。そんなにおかしな事を言っただろうか?
そんな事を思っていると、神野アキトがガッと僕の肩を叩いて大笑した。
「ああ、そうだな。もちろん俺達だってクロノがやられて黙って見ているほど呑気でもない。だから俺達も一緒に行くぞ!」
「ええ、私達もクロノ君には返しきれない恩があるからね。此処で纏めて返しておきましょう」
「ああ、流石に仲間がやられて何もしない程に恩知らずでもないからな」
アキトに続き、エリカやツルギも同調する。それを見て、マキナも嬉しそうに頷いている。
ヤスミチさんも同意見のようだ。力強い笑みで頷いている。
やはり、クロノさんは仲間からかなり慕われているようだ。それが理解出来ただけでも良かったと言えるだろう。うん、本当に良かったと思う。
・・・ ・・・ ・・・
そして、僕達は戦力を整える為に準備を進めてゆく。途中、ギイ=ステラジアも共に参戦するという事が発表されてひと悶着あったものの、それでも最終的にクラウン代表が全責任を取るという事で落ち着いたようだ。
もちろん、ギイが参戦する事には僕も賛成した。この状況下では戦力はなるべく多い方が良いだろうという判断だ。その言葉に、最終的に全員が納得したようだ。
決戦の時はついに来た。向かうは観測可能領域帯に程近い宙域。最果ての銀河。
さあ、行こう———
・・・ ・・・ ・・・
「ブラス、どうやら奴等が戦力を整えてこちらへ来るみたいだぞ?」
「そうですね。もちろん、打って出ましょう」
「じゃあまずは俺が先に行くとする。面白そうなヤツも居る事だしな」
「じゃあ、よろしくお願いします」
「おう」
そう言って、ゼノは影となってブラスの前から姿を消した。
ブラス=スペルビアは機械仕掛けの玉座に座し、静かに笑みを浮かべる。全てを俯瞰して見通せる機械仕掛けの神殿の機能により、宇宙全域を見通しながら。
「さあ、ゲームを進めましょう。盛大な戦争遊戯を。全ての宇宙を巻き込んだ、宇宙で最も馬鹿げたゲームという奴を」
そう言って、ブラスは静かに笑みを浮かべて俯瞰する。
……ブラスの中で、二つの鼓動が復活の機をうかがっているのを知りながら。