表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
”豊穣”を冠する後継の勇者  作者: ネツアッハ=ソフ
理解~エロヒム~
46/61

2,クロノからのメッセージ:上

「クロノさんからの伝言(メッセージ)、ですか?」


 思わず、といった具合で僕は身を()り出した。けど、気分が高揚(こうよう)した僕を抑えるようにヤスミチさんが片手で制した。気付けば少しばかり興奮(こうよう)していたのだろう息が荒くなっている。


 どうやら、少しだけ興奮しすぎたらしい。気分を(しず)める為に一度呼吸を整える。


 それを見たヤスミチさんが一度だけ(うなず)くと、小型の宇宙船を顎で(しめ)した。


 母船である人造惑星からこの小型船で来たのだろう。宇宙船としてはかなり小型(こがた)だ。


「詳しい話は中で話そう。とりあえず(はい)るぞ」


「……はい」


 そして、小型宇宙船の中に入る。其処にはメイド姿の女性が立っていた。いや、所々機械的な部分が見えているから、彼女が有機(ゆうき)アンドロイドの?


 そう考えていると、ツルギが僕に紹介(しょうかい)した。


「シイル、こいつが俺の制作(せいさく)した有機アンドロイドのマキナだ。有機アンドロイドとはいえその本質は有機生命と機械のハイブリッドだ。人間と同等(どうとう)の思考活動だってするから人間と同じと考えてくれても構わないのでよろしく(たの)む」


「私がマスターの制作した有機アンドロイドのマキナです。どうぞよろしくお(ねが)いします」


「あ、はい。よろしくお願いします?」


 マキナはスカートの両端をつまみ、僅かに持ち上げてお辞儀(じぎ)をする。かなり礼儀正しい。


 それに……


 うん、確かに人間と同等の知性(ちせい)を感じる。ずいぶんとハイスペックなアンドロイドだ。


 そう、僕は思った。


 ……そうして、僕はマキナに案内(あんない)されて小型宇宙船の一室に入った。其処(そこ)には巨大モニターがあり椅子とテーブルが用意(ようい)されている。テーブルには、クッキーとお茶が入ったコップが置かれているのが理解出来た。どうやら、最初から此処で伝言を(つた)える気だったらしい。


 そう呑気にお茶を()む気にはなれないけど。仕方(しかた)がない……


「では、こちらに。今から遠藤クロノからシイル=クリフォードへの伝言を再生(さいせい)します」


「……………………」


 ついに、クロノさんの伝言が再生されるのか。クロノさんから、僕に()てた伝言。


 緊張しない、と言えば(うそ)になる。事実、今の僕はかなり緊張している。不安(ふあん)を感じていない筈が無いだろう。それくらいに心臓が鼓動を(きざ)んでいる。


 でも、それでも僕はこの伝言を聞く必要(ひつよう)がある。そんな気がするから。だから、僕はこうして黙って伝言を聞く為に椅子に(すわ)る。


 その覚悟(かくご)を察したのだろう。マキナが「遠藤クロノの伝言を再生致します」と言ってモニターを指で刺した。その瞬間、室内は薄暗くなり、モニターに(あか)りが灯った。


 そして、次第にモニターが鮮明(せんめい)になってゆき。やがて一人の青年が映る。


「クロノ、さん……」


 そう、その姿(すがた)はまごう事なき遠藤クロノその人だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ