1,クロノの仲間たち
ヤスミチさんに連れられ、僕は宇宙船用の港まで来ていた。其処には三人の男女が待っているのが遠目にも見えた。恐らく、彼等がかつてのクロノさんの仲間たち……
僕とヤスミチさんに気付いた一人が、手を大きく振る。
「おーいっ!早く早く、もう待ちくたびれたよ!」
「ああ、済まないな。これでもかなり早めに終わらせてきたんだが……」
「この子がクロノ君とユキの息子だよね?初めまして、私は神野エリカだよ。よろしくね?」
「ああ、はい。よろしくお願いします?」
彼女の、神野エリカの勢いに半ば圧倒されながら僕は握手を交わす。エリカは満足そうに頷くと他の仲間たちも紹介していった。
「こっちのイケメンが私の弟、神野アキト君だよ?」
「おう、よろしくな!」
「よ、よろしく……」
今、自分の弟の事をさらっとイケメンと言ったか?何だか不穏な気配を感じたけど、其処は気にしない方が無難だと僕は流す事に決めた。
うん、其処は気にしないが吉だろうな。
そして、続いてエリカはその隣の白衣の少年を紹介する。
「続いて、こっちの不愛想な表情をしているのが神薙ツルギ君だよ!」
「不愛想は余計だよ。まあともかくよろしくな、クロノの息子」
「ははっ、よろしく?」
「今は此処に居ないけど、もう一人ツルギ君の制作した有機アンドロイドのマキナが居るから後で紹介しておくね?ともかく、よろしく!」
「お、おう……」
神野エリカとアキト姉弟。神薙ツルギ。川上ヤスミチ。そして今此処に居ないマキナ。これでクロノさんとユキさんの仲間たちが勢ぞろいという訳か。
なるほど?確かにクロノさんが言っていた通り一癖も二癖もありそうな人達だ。そう思い、思わず僕は苦笑してしまった。
けど、きっと本題は其処ではない筈だ。僕は本題に立ち返るべく話を振る。
「えっと?別に挨拶が主目的という訳でもないでしょう?僕を呼んだ目的は一体?」
「ああ、少しお前に話しておく事があってな。無論、後で他の奴等にも話すが……」
「……えっと?」
「クロノの奴から届いた最終信号という奴だ」
「っ⁉」
その言葉に、僕は思わず身を乗り出しそうになった。だが、それをヤスミチさんは片手で制す。
どうやらまだそれだけではないようだ。僕は逸る気持ちを抑え、一歩退いた。
「そうだ、それで良い。さっきも言ったが、無論後で他の奴らにも言うつもりの事だ。だが、それ以前にお前に見せるべきものが。いや、聞かせるべきものがあるんでな」
「聞かせるべき事?」
ああ、とヤスミチさんが軽く頷いて言った。
「クロノからお前に充てた伝言だ」




