3,緊急議会~解答と到着~
「僕は、それでもクロノさんとユキさんの事を信じる。少なくとも、あの二人が僕に黙っていたのは何か考えがあっての事だろうと思う」
僕は、そう断言した。その返答に対し、各国の首脳達は感心したような反応を示した。特に、アルジュナとクリシュナの二人は口元に僅かな笑みすら浮かべている。
何故か、一人ギイという男だけが何かを思案するような表情で僕を見ていたけど。
アルジュナが口元に笑みを浮かべながら、それでも僅かな疑問を籠めて聞いてくる。
「良いのか?それでもあの二人がお前に真実を黙っていたのは本当の事だろう?」
「……確かに、それはそうだろう。けど、あの時僕は極限状態だったんだ。そんな中で真実だけを伝えられても混乱するだけだっただろう。あの二人の事だ、恐らくは僕に黙っていたのは僕に気を使っての事だったんだろうと思うから」
「そう、か。あの二人の事を信じているんだな……」
「はい、僕にとってのもう一人の父親と母親ですからね」
そう言って、僕は笑った。もう、後悔はしない。僕は何処までも、あの二人の事を心底から信じぬくとそう決めたんだ。だから、何処までも信じぬくさ。
そう、覚悟を新たに決めた。その時———
「首脳の方々、どうやら人造惑星国家のヤスミチ=センジョーが今到着したようです」
今回の緊急議会、最後の主役がようやく到着した時だった。
・・・・・・・・・
「遅いぞ、一体何をしていたんだ?」
「済まないな、俺達も俺達でやるべき事があったんだよ」
キングス大統領の言葉に、ヤスミチという男は軽く返した。その手には、一冊の手記のようなものが大切そうに握られていた。その手記に、首脳達は視線を移した。
どうやら、その手記が遅れてきた理由らしい。
「察するに、その本が何か関係していると見たが。その本は一体何かね?センジョー殿?」
「ああ、そうだな。これはクロノの奴が残していた手記だ。これを探し出すのに、今まで長い時間をかけていたんだよ。悪かったな」
クラウンの問いに、ヤスミチはそう答えた。
クロノさんの残した手記。その言葉に、場がざわついた瞬間だった。




