2,緊急議会~黒幕と真実~
「まず、今回の一件は主犯であるブラス=スペルビア以外に黒幕が居る」
黒幕、その言葉にクラウンはほう?と笑みを深めた。どうやら興味を引かれたらしい。そして大統領と飛一神に僕の三人は同じ人物を思い浮かべる。あの死神だ。
周囲を見回して、反応を確かめた後でアルジュナは一度頷いた。その後、再度周囲に視線を回すとそのまま真剣な表情で言った。
「黒幕の名はゼノ、どうやら此処とは異なる宇宙から来訪した異なる文明の人間らしい。宇宙の境界線を越えてこの宇宙に来たゼノはまず、自身の協力者となりうる人物と接触した。それがブラスという人物のようだ」
「では、そのゼノという人物こそが今回の事件を起こした元凶という事かね?」
問いを投げ掛けたクラウンに、アルジュナは頷いた。そして、そのまま話を続ける。
「ゼノという人物が黒幕という意味ではそうだ。だが、事実としてはもっと複雑らしい」
「……どういう事だ?」
「ゼノという人物は、一度遠藤クロノと白川ユキの二人と死闘を繰り広げた後に死亡寸前にまで追いやられていたからだ。ほぼほぼ死亡同然と言っても間違いないだろう」
「……⁉」
死亡寸前。いや、死亡したも同然の状態だった。それはつまり、凄まじい死闘を演じていたという事になるだろう。それ程までの死闘を、クロノさんとユキさんはあの死神と演じていた。
では、あの時出会ったあの死神は一体誰なのか?いや、或いは……
「そして、此処からがシイル=クリフォードにとって重要になる話だ。クロノとユキ、そしてゼノが死闘を演じた場所こそがシイルの故郷だった惑星だ」
「…………‼?」
「そもそも、あの死闘さえ無ければあの惑星の資源が枯渇する事も無かっただろう。あの惑星はその死闘により死んだも同然だったんだから。クロノがあの時、シイルを拾ったのはそのせめてもの罪滅ぼしだったのかもしれない……」
「……じゃあ、クロノさんとユキさんは」
「ああ、あの時には全て知っていたんだろう」
そう、アルジュナは言った。それに対して、僕は……
僕、は……




