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”豊穣”を冠する後継の勇者  作者: ネツアッハ=ソフ
峻厳~エロヒム・ギボール~
34/61

2,手記の内容より:中

 俺は一人の少女と出会った。その少女は俺と同様、既に精神生命(せいしんせいめい)へ至りそれを極めた結果として生命としての存在を概念(がいねん)へ昇華していた。即ち、俺と同格の存在だった。


 その少女を見た瞬間、俺は一種の歓喜に(ふる)えた。ああ、感動したとも。俺は、彼女の心が放つ輝きに魅せられていたのだから。


 少女の持つ心の輝き、それは人間(ヒト)の心が放つ輝きに魅せられたからこそ持つ。それを喰らいたいという原始的な欲求だ。そして、だからこそ俺は彼女自身が放つ心の輝きに魅せられ(もと)めた。


 故に、俺は彼女に彼女の持つ暴食(ぼうしょく)の概念。その根源にある欲求を指摘した。


 自身の欲求、その根源に気付いていなかった彼女にそれを指摘したのだ。


 指摘し、その()を押したのだ。


 そして、その上で彼女を俺は勧誘した。俺の仲間(とも)になれと、一緒にこの宇宙で遊ぼうと。最悪かつ悪趣味極まりない遊戯(ゲーム)へ彼女を招待した。勧誘し、招待した。


 彼女は俺の勧誘に何を思ったか?少なくとも何も考えていない事はあるまい。


 俺の一世一代、半ば告白(こくはく)にも近い体当たり気味な勧誘。それに彼女は……


「……解った、一緒にこの宇宙(セカイ)で遊びましょう」


 笑顔で(おう)じてくれた。


 その言葉に、俺は心が()ね上がる程に嬉しくなったのを覚えている。そんな事は、きっと後にも先にもこの時くらいだったろう。それくらい嬉しかったという事だ。


 単純というなかれ、俺と同格(どうかく)の人間なんて片手で数える程度にもいないのだから。それはもう嬉しくてしょうがないさ。こればかりは(いつわ)りようもない事実だ。


 俺自身、それは理解している。


 そして、それからは彼女とこの宇宙を()けまわる日々だった。宇宙を駆けまわり、そして宇宙を舞台にして遊び続けた。遊び、(あば)れて回った。


 俺が多元宇宙を渡る際に使用した惑星型宇宙戦艦。そのマスターコードも彼女と共有(きょうゆう)した。


 それもこれも、彼女に対し誠意(せいい)を見せる為だ。惑星型宇宙戦艦、機械仕掛けの神殿。


 或いは、最大級概念兵器”(ぜろ)”。それを彼女と共有し、宇宙(ソラ)を舞台にして遊び続けた。


 そして、そんなある日……ついにあの二人に俺達は気付かれる事となる。


 いや、この宇宙へ来た時から既に気付かれてはいただろう。その二人。


 そう、遠藤クロノと白川ユキの二人(ふたり)にだ……

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