2,手記の内容より:中
俺は一人の少女と出会った。その少女は俺と同様、既に精神生命へ至りそれを極めた結果として生命としての存在を概念へ昇華していた。即ち、俺と同格の存在だった。
その少女を見た瞬間、俺は一種の歓喜に震えた。ああ、感動したとも。俺は、彼女の心が放つ輝きに魅せられていたのだから。
少女の持つ心の輝き、それは人間の心が放つ輝きに魅せられたからこそ持つ。それを喰らいたいという原始的な欲求だ。そして、だからこそ俺は彼女自身が放つ心の輝きに魅せられ求めた。
故に、俺は彼女に彼女の持つ暴食の概念。その根源にある欲求を指摘した。
自身の欲求、その根源に気付いていなかった彼女にそれを指摘したのだ。
指摘し、その背を押したのだ。
そして、その上で彼女を俺は勧誘した。俺の仲間になれと、一緒にこの宇宙で遊ぼうと。最悪かつ悪趣味極まりない遊戯へ彼女を招待した。勧誘し、招待した。
彼女は俺の勧誘に何を思ったか?少なくとも何も考えていない事はあるまい。
俺の一世一代、半ば告白にも近い体当たり気味な勧誘。それに彼女は……
「……解った、一緒にこの宇宙で遊びましょう」
笑顔で応じてくれた。
その言葉に、俺は心が跳ね上がる程に嬉しくなったのを覚えている。そんな事は、きっと後にも先にもこの時くらいだったろう。それくらい嬉しかったという事だ。
単純というなかれ、俺と同格の人間なんて片手で数える程度にもいないのだから。それはもう嬉しくてしょうがないさ。こればかりは偽りようもない事実だ。
俺自身、それは理解している。
そして、それからは彼女とこの宇宙を駆けまわる日々だった。宇宙を駆けまわり、そして宇宙を舞台にして遊び続けた。遊び、暴れて回った。
俺が多元宇宙を渡る際に使用した惑星型宇宙戦艦。そのマスターコードも彼女と共有した。
それもこれも、彼女に対し誠意を見せる為だ。惑星型宇宙戦艦、機械仕掛けの神殿。
或いは、最大級概念兵器”零”。それを彼女と共有し、宇宙を舞台にして遊び続けた。
そして、そんなある日……ついにあの二人に俺達は気付かれる事となる。
いや、この宇宙へ来た時から既に気付かれてはいただろう。その二人。
そう、遠藤クロノと白川ユキの二人にだ……




